【文スト】噂の野良猫娘２ (ページ43)

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火事現場にてページ43

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病院を出て次に向かった先は、火事現場の杉浦病院――ウチが一ヶ月前まで暮らしていた所だ。

途中花屋に寄って、小さな花束を買って貰った。

ウチはそれを病院の入り口に備え、静かに手を合わせた。

まさか、こんな形で帰って来るとは思わなかったなぁ。

病院を改めて見た。

殆どが焼けて黒焦げになっていて、立ち入り禁止のテープが貼られている。

『此処に入って調べたりするの？』

「市警の方で大体捜査して、証拠品などは全て回収済みだろうな」

それだとこれから調べても何も落ちて無さそうだなぁ。

さて、如何するか。

《あぁぁっ！やっぱりAだぁぁっ！》

《ホントだ！ Aだぁぁっ！》

『……ん？』

遠くから声が聞こえて振り返る。

もの凄い速さで大型犬――ゴールデンレトリーバーが２匹走って来た。

《Aだっ！久し振りっ！》

『え、ちょっ……ぎゃぁぁっ！！』

そのままウチに飛び掛かって押し倒された。

ベロベロと顔中舐め回された。

「Aッ！？」

『んぶっ！！だぁぁっだずげてぇぇぇ敦ぃぃぃっ！！』

２匹に押し倒されながらも助けを求める。

敦はウチを犬達から引き剥がし、眼鏡さんが２匹のリードを掴む。

「だ、大丈夫？」

『た、助かったぁ……って、包帯さん何処行った？』

ウチが大変な目に遭っていると云うのに、姿が見えない。

かと思ったら、病院の塀の陰から覗いていた。

『何してんの包帯さん。と云うか遠くない？』

「いやぁ～私、犬はちょっとねぇ……」

嫌そうな顔を此方に向けて来る。

如何やら犬が苦手らしい。

意外だ。

『と云うか、一目散に逃げるなんて酷くない？』

「ごめんねぇ……って、Aちゃん、私の外套で顔拭こうとしないでっ！」

そう云いつつ包帯さんはハンカチを差し出していた。

念を押す様に「あげる」と云われた。

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