彷徨う少女 ページ24
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太宰達三人で話していると、事務所の扉が揺れた。
視線をそちらに向けると、硝子の向こうで白い塊が動いていた。
「な、何ですかアレ……」
「……お化けだったりして?」
「ばっ馬鹿云うな! 探偵社にそんなモノ居て堪るかっ!」
すると、ゆっくりとドアノブが回され扉が開いた。
入って来たのは、掛布団を頭から被ったAだった。
「Aッ! 目が覚めたんだね!」
「おい小娘、布団を被って何を巫山戯ている」
『……』
「……Aちゃん?」
呼び掛けても反応が無い。
Aはそのまま無言でゆらゆらと歩き始める。
「A、如何し――」
「待って敦君」
Aに近付こうとする敦を太宰が止める。
――何か様子がおかしい。
Aは虚ろな目のまま三人を無視して、ふらふらと応接セットの方へ歩いて行った。
「Aちゃんは、医務室で寝た筈なのに、朝起きると別の場所で目を覚ますって云っていたよね? その原因がこれだよ」
「じゃあ、寝ている間に無意識に歩き回ってたって事ですか?」
「……夢遊病か」
夢遊病は精神的ストレスが原因で発生するものだ。
Aにとっては、公園での野宿から探偵社で寝泊まりと、環境が変わった事もある。
更に、危ない目にも遭っている。
ストレスを感じない筈がない。
「……あ、A! そっちは……」
Aは応接セットのソファーへ向かっていたが、仕切りに激突した。
ガンッと音が聞こえる程思い切り顔面をぶつけていた。
「わぁ痛そう……」と思わず太宰が呟いた。
暫く動きを止めていたAは二、三歩下がり方向を修正して、今度こそソファーまで辿り着く。
ポスッと横になって暫くしたら、気持ち良さそうな寝息が聞こえた。
「……落ち着いたようですね」
「しかし、ここに寝かせる訳にはいかんぞ」
「そうだねぇ」
そう云って、眠っているAを敦が抱える。
動かしても全く起きる気配がない。
そのままAを再び医務室へと連れて行った。
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夜廻(プロフ) - 続編待ってました!無理しないで、頑張って下さい!!!! (2018年3月25日 18時) (レス) id: 44c5ec9c50 (このIDを非表示/違反報告)
ノア@情緒不安定(プロフ) - ちぃちゃんの性格が好き。 (2018年3月17日 16時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
高杉アヤ(プロフ) - 何この作者神かよ女神かよ!!(←羨まし過ぎて逆に尊敬してる奴) (2018年2月19日 21時) (レス) id: bdc5f38589 (このIDを非表示/違反報告)
sakaruma1031(プロフ) - とても、面白いです。続きが気になります! (2018年2月18日 11時) (レス) id: 7de756cf73 (このIDを非表示/違反報告)
ヨッシー(プロフ) - やつがれえええええ!良くやった!ひぐっちゃんおめでとう! (2018年2月7日 19時) (レス) id: 71a49373db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2018年1月19日 23時