【文スト】噂の野良猫娘 ２

暴走 ページ19

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樋口Side



「芥川先輩っ！」



体を再生させた獣が先輩を吹き飛ばした。

ぶつかったコンテナの壁に穴が開く程の強力な衝撃だ。



先輩はご無事だろうか。



そんな事を思っていると、コンテナが音を立てて細切れになり、黒獣と共に先輩が飛び出して来た。

復活した赤黒い獣は、標的を先輩に変え、牙を剥き出しにして突っ込んで行った。

黒獣を操り、先輩は獣と対峙する。





『ぐっ、ぁ……』





抱えていた少女が苦しそうに呻いていた。



見ると、手や顔に赤黒い痣が浮かび上がっていた。

それは体を蝕む様に、ゆらゆらと動き広がって行く。



しかも、少女は咳き込む度に吐血し、鼻血も流れていた。





――彼女の異能力が暴走している。





そう察する事が出来たが、私には如何する事も出来ない。

芥川先輩の方を見れば、あの獣と戦っている。

何度も黒獣で体を刻んでも、即座に再生して尚も襲って来る。





これでは切りが無い。









その時、カランッと地面に何かが転がった。

金属の筒の様な物が見えた。





途端に、カッと光が放たれ、眩しさに目を瞑った。









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光が消えた時、私達のすぐ隣に誰かが立って居た。





その人は、少女の額にそっと触れた。









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「――【人間失格】」





声が聞こえ、異能力が発動された。



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