双子兄の苦労 ページ12
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ドアの向こうから寝起きで機嫌の悪い声が聞こえて来た。
他人が聞いたら震え上がる程の低い声。
しかしながら、それに全く動じないのがこの妹である。
『そ・れ・か・ら、脱いだ服! 椅子に掛けっぱなしだったよ! 洗うんだからちゃんと洗濯籠に入れてよね! 帰ったら洗うんだから』
「……」
「おーい、A。もう出ないと遅れるぞー」
『わかったー。それじゃあ宿兄ちゃん、行ってきます!』
最後にドアを軽く叩いてAは出掛けた。
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登校中。
「おいコラテメェ宿儺っ!」
「昨日はよくもやってくれたなぁっ!」
「落とし前付けて貰おうか」
「だぁからぁっ!! 何度も言うけど俺は宿儺じゃねぇっつってんでしょうがっ!!」
目の前に柄の悪い他校の男子高校生。
悠仁を見るなり突っ掛かって来た。
宿儺と間違えて双子の悠仁に、仕返しを行う連中がここ最近また増えた気がする。
「俺は悠仁なのっ! 宿儺と双子っ! 似てっけど全然違うからなっ!」
「巫山戯んなよオイ」
「そう言って騙そうったってそうは行かねぇぞっ!」
「ねぇぇぇっ!! 誰でも良いから一人くらい信じたって良くないっ!?」
(悠兄ちゃん、災難……)
そんなやり取りを見つつAは時計を確認した。
早くしないと遅刻になる。
「宿儺が何したか知んねぇけど……今日はとりあえずさよならっ!」
『うわっ!?』
他校の男子と話していた悠仁は、隣に居たAを抱え走り出した。
「あぁっ!? 待ちやがれぇ宿儺っ!!」
「あークソッ!! 彼奴足速ぇっ!!」
Aは抱えられながら追って来る他校生徒を見る。
ものの数秒でその姿は小さくなって見えなくなった。
流石、50mを3秒で走る男。
しかしながら、この速度は人一人抱えて出せるものではない。
他校生を振り切り学校の校門まで到着した。
『……酔った』
「悪ぃ、大丈夫か?」
悠仁から降りたAはげっそりとした表情をしていた。
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かさ(プロフ) - 番外編も大好きですぅうう!! (2022年7月2日 12時) (レス) @page39 id: 82f5c86142 (このIDを非表示/違反報告)
ケコ - 大好きです!!!!! (2022年6月20日 1時) (レス) @page19 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
パルフェ - ネコパフェさんいつもリクエスト聞いてくれてありがとうございます (2021年7月14日 20時) (レス) id: 7c4a754810 (このIDを非表示/違反報告)
パルフェ - うーん悩みますね五条先生と一緒に捕えられて封印するときは別々ですかねちなみに渋谷のハロウィンで封印されてるところがいいんですけどお願いしてもいいですか? (2021年7月14日 20時) (レス) id: 7c4a754810 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - パルフェさん» リクエストありがとうございます。この場合、五条さんと一緒? それとも別の場所でですかね? (2021年7月11日 22時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2021年6月19日 23時