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我が家に着いてほっと一安心した。
郵便ポストには何通かのチラシやハガキが入れられていた。
玄関を開けようとして鍵を出したのだが、穴に差し込む前にふと気付いて止まる。
「どうした?」
『……あ、開いてる』
玄関のドアは簡単に開いてしまった。
『か、掛け忘れたのかな〜……なんて』
「てめぇなら有り得なくも無い、が……」
心配だったので、土方さんを先頭に家に入った。
廊下を進み、部屋に目をやった。
「……あ」
『ぎゃああああ! 見ないでぇぇぇ!』
「ぐほぉ!」
私は慌てて土方さんを横に突き飛ばして部屋に入り襖を閉めた。
何故かと言うと……、
部屋の中は布団が敷きっ放し、ゴミは散乱し、脱ぎ捨てられた服が丸められていた。
女の子とは思えない醜態である。
落ち着いてからゆっくり襖を開け、廊下に倒れてこちらを見ている土方さんと目が合った。
『す、すみません。ここから片付けますんで、少々お待ちを……』
そして、私は襖を閉め、手早く片付け始めた。
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数分後、漸く私の部屋は目を当てられる状態へと回復した。
土方さんに報告しようと襖を開け廊下を見たが居らず、
台所の方へ行くと換気扇の下で煙草を吸っていた。
本当は匂いが付くから吸って欲しくないのだが、
突き飛ばした挙句、ヘビースモーカーのこの人に言うなんて、恐ろしくて言い出せない。
さてさてお次は食器をと流しを見たが洗物がなく、代わりにキレイに洗われた食器があった。
洗われた食器と土方さんを交互に見て、口を開いた。
『これはもしや……妖精さんが?』
「ここは普通に考えて俺だろ」
『成程、マヨネーズの妖精ですね』
「ぶん殴られてぇのかテメェ」
『うわぁ、ありがとうございました。土方さんって意外と几帳面ですね』
「これくらい誰だってできんだろ」
『それはそうですけど、やろうと思う所がすごいです。どういう風の吹き回しなのか』
「早く終わらせてぇんだよ。長居はしたくねぇからな」
『あぁ、そうですか』
土方さんが手伝ってくれたお陰で早くに終わらせる事が出来た。
必要な荷物をまとめて私は廊下に出た。
その時、玄関が開いて――
「おう、A殿」
――桂さんが陽気に手を振っていた。
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S(プロフ) - うわぁぁぁぁぁリク採用ありがとうございます!!!!泣 (6月28日 16時) (レス) @page43 id: cc16e6db3c (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - 更新うれしいです! (6月7日 17時) (レス) id: cc16e6db3c (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - 1日で全シリーズ読んじゃうくらい面白いです!更新からずいぶん経ちますが、続き楽しみにしてます! (6月3日 21時) (レス) @page38 id: cc16e6db3c (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 面白いです!更新うれしいです^_^ (2021年10月26日 1時) (レス) @page21 id: 0ae16f7ca1 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - みもりさん» んー……今のところオチは考えていません。が、誰ルート寄りで恋愛もののリクエストとかあれば書くかもしれない。 (2021年8月1日 15時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2021年7月24日 23時