【銀魂】毒舌娘、問題を撒く

　＊　 ページ42

.





「いやぁ、それにしてもAちゃん、怪我が無くて良かったよ」





鼻にティッシュを詰めて屯所に連れて行かれ、近藤さんと向き合っている。





『近藤さんは……何で大怪我してるんですか？』



「ガハハ。これは愛の鞭さ！」





明るく返してくれたが、どう見ても妙ちゃんに殴られた痕にしか見えなかった。

本当に愛の鞭なのか、近藤さんがただ無知なのか。

どっちに同情すれば良いものなのか。

近藤さんに怪我の原因を聞かれたので、きっぱり言った。





『土方さんに轢かれたからです』



「車は急には止められないって教わらなかったか？ 飛び出して来たお前が悪い」



『運転者は歩行者に気を付けて運転するって教習所で教われなかったんですか？ この場合、車側に責任があります』



「責任転嫁ですかィ、見苦しいですぜ。潔く死ねよ土方コノヤロー」



「誰が死ぬかお前が死ねっ！ つーか何で飛び出して来たんだよ。急ぎの用事でもあったのか？」



『……え……あぁ、そうだった』



「忘れてたな、こいつ」





そうだそうだ。

轢かれた所為で記憶が飛んでいた。





『帰り道で怪しい浪人二人に追い駆けられたんですよ。いやぁ参った参ったアハハ……っでぇ！』





土方さんに叩かれた。

お陰で鼻に詰めていたティッシュがスポーンッと吹っ飛んだ。

鼻血は止まっていたから良かったけど。





「そういう事は早く言え！」



『だって仕方ないじゃないですか！ こちとら必死に逃げて来たのにいきなり車に轢かれて、記憶がポローンと落ちちゃったんですから！』



「大事な頭のネジの間違いじゃねぇのか？」



『私はどこぞのロボットでも天才おじさんでもありません』



「自意識過剰なんじゃねぇか？」



『私も最初はそう思いましたよ。でも、どう考えても確実に追い駆けられたんですって』



「そんな目にあっても全く怯える様子もないお前が逆に怖ぇよ」



『あんたらみたいなのと日常生活過ごしていると、恐ろしさの基準が変わるんです』





.

　＊　→←　＊　

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す