* ページ23
.
屯所が目と鼻の先に見えて来た時、
「おいA、お出迎えだぞ」
沖田さんが指さす方へ視線を向けると、門の前に誰かが立っていた。
遠目でも分かるあのV字の前髪。
土方さんが腕組して仁王立ちしてるじゃないか。
『……ビャッ』
私は思わず小さく叫んで踵を返した。
しかし、ガシッと沖田さんに腕を掴まれて逃げられない。
『ま、待って沖田さんっ! あそこに鬼が居るよっヤバいってっ! 誰か鬼殺隊呼んでっ!』
「安心しろ、彼奴は人を喰わない鬼だ。ニコチンとマヨネーズで補ってる」
『クソ体に悪そうなのに滅茶苦茶強そうなんだけど! 上弦かなっ!?』
沖田さんに引き摺られながら門に近付くと、土方さんがこちらに近付いて来た。
『うっわっ来たっ! 鬼が来たっ! 待って待ってホント無理だから手放してお願いしますっ!』
「悪ぃなA、そいつは聞けねぇ話だ」
沖田さんは無情にも私を前に出して、ドンッと背中を押した。
倒れそうになりながら態勢を正して前を向いたら、
「よぉ」
『ビャッ』
鬼がおりました。
「随分と元気そうじゃねぇか? なぁA」
『い、やホント、ご、ご無沙汰しておりますねぇ、土方さん……』
上から見下ろされて縮こまり、私の両目は泳ぎまくっているだろう。
「山崎から聞いたぜ。災難だったなぁ、また巻き込まれたってぇ?」
『やぁ〜まぁはい、ご心配をお掛けしました……』
「まぁ積もる話もあるだろうし上がってけよ。茶くらい出すぜ」
『あ、ありがたいッスねぇ。でも私そろそろお暇したく――』
身を引こうとしたが瞬間胸倉を掴まれた。
体がちょっと浮いて、今つま先立ちです。
「飯も奢ってやるから、来るよなぁ?」
『……ハイ』
観念して返事をすると、取調室へ直行。
今晩の夕食はかつ丼でした。
.
215人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
S(プロフ) - うわぁぁぁぁぁリク採用ありがとうございます!!!!泣 (6月28日 16時) (レス) @page43 id: cc16e6db3c (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - 更新うれしいです! (6月7日 17時) (レス) id: cc16e6db3c (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - 1日で全シリーズ読んじゃうくらい面白いです!更新からずいぶん経ちますが、続き楽しみにしてます! (6月3日 21時) (レス) @page38 id: cc16e6db3c (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 面白いです!更新うれしいです^_^ (2021年10月26日 1時) (レス) @page21 id: 0ae16f7ca1 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - みもりさん» んー……今のところオチは考えていません。が、誰ルート寄りで恋愛もののリクエストとかあれば書くかもしれない。 (2021年8月1日 15時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2021年7月24日 23時