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『――ぶっはぁぁぁっ!! 死ぬかと思ったぁぁぁっ!!』
水面から顔を出して思い切り息を吸い込んだ。
私を捨てた鬼兵隊の船は、既に遥か上空へと小さくなっていた。
落ちても大丈夫な高さから落とされたようだ。
だからと言って、思いっ切り背中を水面に叩きつけたので今凄いヒリヒリする。
あと、もしかしなくても、私今から港まで泳ぐ感じ?
この怒りを何処にぶつければ良いんだ。
『せめてゴムボートッ! 最低でも浮き輪くらい寄越せよコラァァァッ!!』
悪態を吐くも、もう向こうには声が届かないだろうな。
と、その時目の前に浮き輪が落ちて来た。
驚きよりも先に、反射的にその浮き輪にしがみ付いた。
「A殿、無事かっ!?」
聞き覚えのある声に視線を向けると一隻の船。
そこに見えた人物に目を丸くした。
『エ、エリザベスッ! お前いつから声が石○さんになったんだっ!?』
「A殿っ! 俺はこっちだっ!」
エリザベスの影から本物の石――桂さんが現れた。
『桂さん、何でこんな所にっ!』
「それはこっちの台詞だ。昔の知り合いからここへ来るよう言われて来てみれば、空からA殿が降って来たから驚いたぞ」
『あ? 昔の知り合い……』
引き上げて貰っている時、桂さんの言葉でフラッシュバック。
――貴女は知らないでしょうが、攘夷浪士の間では貴女結構有名人なんですよ?
――何でも桂が触れ回っているとか。
過激派攘夷浪士の鬼兵隊の皆さんからのタレコミが私の脳裏に蘇った。
――桂さん、次会ったらどうしてくれようか。
『……桂さん』
「ん? どうした寒いか? 震えているじゃないか、今すぐ毛布を――」
『てめぇ一回沈んで来い』
無防備に座っている桂さんを勢いよく突き飛ばして海に落とした。
「ぶっはぁっ!! A殿っ! 一体何をっ!」
『元はと言えばお前がそもそもの元凶じゃねぇかっ!! 沈めオラァァァッ!!』
傍にあったオールで憎い長髪野郎の頭をバシバシ殴り、あがって来ないように抑え込んだ。
その後私はエリザベスに羽交い絞めにされ、ぷかりと浮いた桂さんは他の浪人に助けられた。
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S(プロフ) - うわぁぁぁぁぁリク採用ありがとうございます!!!!泣 (6月28日 16時) (レス) @page43 id: cc16e6db3c (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - 更新うれしいです! (6月7日 17時) (レス) id: cc16e6db3c (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - 1日で全シリーズ読んじゃうくらい面白いです!更新からずいぶん経ちますが、続き楽しみにしてます! (6月3日 21時) (レス) @page38 id: cc16e6db3c (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 面白いです!更新うれしいです^_^ (2021年10月26日 1時) (レス) @page21 id: 0ae16f7ca1 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - みもりさん» んー……今のところオチは考えていません。が、誰ルート寄りで恋愛もののリクエストとかあれば書くかもしれない。 (2021年8月1日 15時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2021年7月24日 23時