【文スト】紙使い少女は、黒に染まっていた【黒の時代】

何思う ページ29

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「――まぁ、“組員だったら”の話だけどね」









『……え？』





思わぬ言葉に目を開ければ、向けられていた拳銃は既に男の懐に仕舞われていた。



「君は組長を自ら手に掛けた。それは大きな裏切り行為だ。そう考えると、その時点で君は組員ではないと云う事になる」

『……い、云っている、意味が』

「組員じゃない以上、私は君を殺める理由が無いのだよ」



男の言葉に、頭の中が混乱して理解が追い付けない。



「それに“組員は全員死んだ”って首領に報告してしまったからね。君はもう死んだ事に成っている」

『……で、でも……私は、構成員を襲撃して、傷付けました。だから――』

「“殺されて当然だ”と云いたいのかい？ でも実際、君の異能力で死んだ部下は居ないしなぁ。

　君が“如何しても死にたいから殺してくれ”と云っても、私が困る。

　銃弾が勿体ないし、ベッドが汚れるからね。

　君が死のうが生きようが、私には毛程も興味が無いよ。

　どうぞ、ご勝手に、そこの窓から身を乗り出せば良い。

　消耗した体で動けるものならね」





男が云う窓を見たが、云われた通り、今の私の体は動ける状態ではない。





窓を見ながら私はぼんやり考えた。









――私は「死にたい」のか？









孤児院の子供達も居ない。

組は壊滅して居場所がない。

身寄りなど最初からない。





だからあの時、死のうとしたんだ。

生きる意味が浮かばなかったから。









……だけど「如何しても死にたい」とは思っていない。









同時に「如何しても生きたい」と云う訳でもない。









――曖昧だ、私は。









――私は、如何したら良いのか……。



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