大丈夫じゃない ページ5
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補助監督とは違う立場の人間なのか、伏黒も見覚えがない。
「何だアンタ等」
「一緒に来て下さい。上からの指示です」
(上から……上層部が何でAを?)
不審に思った伏黒は、こちらに近付く男達からAを離して後ろに隠す。
「こいつはまだ高専生でも術師でもない一般人ですよ。上の指示だとしても勝手に連れて行かれるのは困ります。そう言うのは夜蛾学長か五条先生を通してからにして下さい」
「夜蛾学長も五条さんも現在連絡が取れない状況です。貴女の体質に関して、早急に話をしなければならないとのことです」
Aの体質――体から呪力が溢れる現象。
その呪力が呪霊を呼び寄せ影響を与える事。
上層部にも知られているらしい。
今は呪具で抑えているが、一時的解決にしかなっていない。
悠仁の時と同様、余り良くない話が投げられるのは目に見えている。
その時、伏黒の袖が小さく引っ張られた。
後ろに居たAが軽く掴んでいた。
『……私、行きます』
「駄目だ。せめて五条先生が戻るまで――」
『伏黒さんはすぐに怪我の治療して下さい。駄目ですよ、体も冷えてますし』
そう言うAの体も震えていた。
雨に濡れた所為か、怯えている所為か。
どちらにせよ、他人の心配をしている場合ではないはずだ。
前に出ようとするAの腕を掴んで止める伏黒。
振り返ったAは、真っ直ぐと伏黒を見つめた。
『大丈夫です』
――頼む。
特級呪霊を目の前に、悠仁が伏黒に言った言葉。
あぁ、くそ。
そういう表情まで、兄貴そっくりじゃねぇか。
スーツの男に促され歩き出したAの腕から、伏黒の手がするりと離れた。
――彼奴のこと、頼んだぞ。
悠仁の最期の言葉が頭を過った。
「っ……くそっ」
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愛菜(プロフ) - 脹相大好きなので妹ちゃんとの絡みが待ち遠しいです…!! (2021年3月31日 4時) (レス) id: 6adb5175f1 (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ - すっごい面白かったです!更新頑張ってください!! (2021年3月16日 23時) (レス) id: eb3104731e (このIDを非表示/違反報告)
ムスビ - 最後まで描き続けてください誤字てしまったので書き直しました (2021年3月12日 10時) (レス) id: 7c4a754810 (このIDを非表示/違反報告)
ムスビ - この小説は最後まで続けて欲しいですだから絶対かかったきてください応援しています (2021年3月12日 10時) (レス) id: 7c4a754810 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - ムスビさん» 嬉しいコメントありがとうございます! 頑張ります! (2021年3月11日 22時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2021年1月27日 23時