役立てたい ページ9
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あれから一頻り泣いた後、解剖室から別の部屋に移った。
擦り過ぎた所為で目元がヒリヒリする。
椅子に座って俯いたままぼんやりと自分の手を見つめる。
すると、視界に湯気が立つカップを差し出された。
顔を上げると白衣を着た女性が立って居た。
「飲みなさい。少しは気分が良くなる」
『ありがとうございます……えっと……』
「家入硝子だ。高専で医者をやっている」
カップを受け取り、コーヒーを一口。
ミルクと砂糖が入って程よく甘い。
ふぅっと気持ちが落ち着く。
向かい側に家入が腰掛けて、書類を差し出して来た。
「辛い所悪いが、一応決まりでね」
悠仁の遺体の解剖承諾書。
遺族であるAの署名が必要なのだ。
Aはカップをテーブルに置き、書類を受け取る。
すると、躊躇なく記入欄に自分の名前を書いて硝子に差し出した。
「大丈夫か?」
硝子は書類を受け取りながらAに訊ねる。
『本当は嫌なんですが、兄の体で呪いの事を色々調べないといけないと思うので、役に立てるなら立てちゃって下さい。兄も賛成してくれると思います』
「分かった。必ず役立てるよ」
『よろしくお願いします』
Aは深々と頭を下げた。
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愛菜(プロフ) - 脹相大好きなので妹ちゃんとの絡みが待ち遠しいです…!! (2021年3月31日 4時) (レス) id: 6adb5175f1 (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ - すっごい面白かったです!更新頑張ってください!! (2021年3月16日 23時) (レス) id: eb3104731e (このIDを非表示/違反報告)
ムスビ - 最後まで描き続けてください誤字てしまったので書き直しました (2021年3月12日 10時) (レス) id: 7c4a754810 (このIDを非表示/違反報告)
ムスビ - この小説は最後まで続けて欲しいですだから絶対かかったきてください応援しています (2021年3月12日 10時) (レス) id: 7c4a754810 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - ムスビさん» 嬉しいコメントありがとうございます! 頑張ります! (2021年3月11日 22時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2021年1月27日 23時