皆の絆は知っている

めでたし、めでたし ページ18

〜彩side〜

「あああ。。。若武劇場のはじまりだ。行こうぜ。」

こんなに嬉しい気持ちになったのは、初めてかもしれない。
みんなが私のこと、こんなに大切に思ってたなんて。。。
思ってもいなかった。

「ほら、座りな。」
黒木くんのいう通り、ソファーに腰をかける。
右隣には黒木くんが腕を私の肩に回して座り、左隣には、上杉くんが座った。
そしてなんと!!!!!
私の手を握ったんだ‼
そして、に、さんかい、ぎゅーっと、強く握った。
大丈夫だよ、ってね。
そうすると、不思議なことに、緊張感が抜けるんだ。

「お、上杉先生、珍しく熱いじゃん。」
黒木くんがからかっても、
「うっせー」
とだけいって、放すことはなかった。

「おい‼ リーダー無しでイチャイチャしてんじゃねーー!!!!」
若武がカンカンになって入ってきた。
その顔が幼く見えて可愛かったんだ、クスクス。

「親ってさ、おまえは俺たちの支配下にいるんだとか、食わせてるのは俺たちだろーがとか、なんで産まれてきたんだとかいうけど、それは勝手にお前らが産んだんだろって思うだよな。だったら、早く独立すればいいって言って選択肢があるみたいにいうけど、実際、そんなに現実は甘くねーから、親のもとにいておとなしく従えていってるようなもんだろ。だったら、最初からそれ言えよっておもって、余計ムカつく。信じらんねーよな。親って。」
皆がうなずく。
この年は、皆そう思う時期だしね。
すると、お兄ちゃんのスマホが鳴り出して、言葉少なく話して切った。
「お父さんから電話だ。奈子の手術が無事成功したってさ。明後日には帰ってこれるって。」
「やったーー、よかったー。」

あー、昨日、奈子のことが心配で、寝れなかったんだよねえ。
なんか、黒木くんと上杉くんの体温が温かくて、眠くなってきちゃった。。。

なんか、いろんな意味で、すっごく安心。
ちゃんと確認できたもんね、『皆の絆』の強さに。

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