第38話 ページ45
貴『コツ教えてあげるから、一緒にやろう?』
そう言って微笑むと、ち、なんて舌打ちをした癖に僕の言葉に耳を傾ける
貴『箒をとるときは空気を手で引くみたいにして‥、魔力も同じようにね』
フ「‥ん"〜」
貴『もうちょっと優しく、ほら、いつも僕の手を引っ張る時みたいにしてみて』
そう言う具体的な例を出せば、今までで動きもしなかった箒がぴたり、とフロイドの手におさまった
周囲にはまだ出来ている人はおらず、問題児であるフロイドの近くにいたバルガス先生も、おおなんて感嘆の声を漏らした
フ「できた!」
そう言ってはしゃぐフロイドは僕に抱き着いた
いつも首に回される腕は肘辺りに回っており、フロイドの背からすれば腰が痛いだろうにと思いながらも、気を遣ってくれているのかと笑みが漏れる
背中のほぼ全体が怪我で覆われているが、麻酔薬を飲んでいる僕は痛みを感じないし、何より火傷に触れられていないだけましだろう
貴『おめでとう』
そう言うと、今日初めてフロイドは笑った
.
午前中の授業が終わり、昼食のためフロイドと共に食堂に向かう
もうすぐキレるであろう麻酔薬はポケットに入れて、食後に飲もうと思う
「おや」
「‥名前?」
フ「あ、ジェイド〜、アズール〜」
目を見開きながら僕を見詰める二人に、苦笑いを漏らしながら手を振る
ア「貴方‥、漸く帰ってきたんですか?」
ジェ「ふふ、心配していましたよ、とても」
ジェイドはなにやら怒っているのか、ハイライトのない目で笑っている
四人で列に並び、それぞれが昼食を取れば
フ「そんじゃあ聞かせろよ、全部」
と、ドスの効いた声がした
.
ホリデーに帰った故郷は、それはもう楽しかった
久々の海をジェイドとアズールで泳ぎ回っては、懐かしい場所をみて回る
両親と共に食事をし、慣れた寝床で眠りにつく
しかしそれが楽しかったのも最初の三日ほど
ア「どうしたんです?今日は元気がないようですけど」
フ「ん"〜、名前〜」
ジェ「ふふ、名前さんが恋しいみたいで」
俺程では無くとも二人とも恋しいと思っているのか、特になにも言わなかった
その日から毎晩名前にメッセージを送っているにも関わらず返事はおろか、既読さえつかない
ホリデーが終わる頃、三人の間には少しだけピリピリした空気が流れていた
.
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暇鬱(Itosaka) #(男として活動してるけど)一応僕っ子系女子(?) - 髪が結べるということは下手したら僕より髪長いぞ…← (2023年3月31日 3時) (レス) @page19 id: 78bf642dad (このIDを非表示/違反報告)
リリ - 璃猫さん» もう知ってたらごめんなさい主様ではなくて申し訳ないのですが目次の一番下にある登場人物設定というところに入力すると変えれるかと思います(語彙力がなくわかりにくかったらごめんなさい) (2021年11月21日 15時) (レス) @page50 id: b4e2026cdd (このIDを非表示/違反報告)
ねこさん(プロフ) - 入学式は??レリック家はどうなったんだ??これでもし監督生が悪女とかだったりしたら僕泣いちゃうぞ←🥺 続きも頑張ってください!! (2021年11月21日 11時) (レス) @page50 id: ab4164b541 (このIDを非表示/違反報告)
璃猫(プロフ) - コメント失礼します。主人公の名前なんですが、多分(名前)と打ち込んでいないからか、全て 名前 との表示になってます。意図してその様にしてあったらすみません。 (2021年11月21日 9時) (レス) @page8 id: 15ba7b8b80 (このIDを非表示/違反報告)
リリ - お金の力のところで声に出して「え、」て言ってしまいましたねw夢主さんとレオナさんの絡み?がすごく好きです (2021年11月20日 23時) (レス) @page49 id: b4e2026cdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこもち | 作成日時:2021年11月15日 14時