番外編 バレンタイン!6 ページ14
「Aちゃん!リナリアのやつなんて気にしちゃダメだよ!?クロさんへの気持ちの大きさは絶対Aちゃんの方が上なんだから!」
「うん…ありがと、リーちゃん」
必死に励ましてくるリーズルに感謝しながら着替える。仕事も終わり、真昼は買い物に行き、クロは外で待ってくれている。チャンスだ。
「クロ、お待たせ」
「おー…じゃあ帰るか」
2人並んで歩き出す。
小さな彼女の歩幅にクロは合わせて歩く。そんな優しい気遣いに気づいている彼女は思わず頰が緩む。
隠しているピンクの袋をキュッと握り、覚悟してクロに声をかけた。
「クロ、あのね…」
「ん?」
「クロに渡したいものがあって…///」
「Aー!!」
隠していた袋を出した時、不意に背中から抱きつかれた。それと同時にポロっと手から袋が落ちる。
「あっ…」
だが袋の中からは破れたような嫌な音もせずホッとしたのも束の間、抱きついてきた人物の9センチシークレット下駄によって袋は無残にも踏み潰された。
「あぁー!!!」
「え、なにっ!?何かあったのA!?」
抱きついてきた人物、椿は悲鳴の原因が自分だとも知らずにキョロキョロと周りを見渡す。
「椿テメェ…Aから離れろっ…」
クロが椿を彼女から引き離す。彼女は解放されるとわなわなと震えながらぺちゃんこになった袋を手に取った。
中身を確認せずとも分かる。生チョコはぺちゃんこ、ポテチは粉々。
「う、あっ……」
「「A…?」」
震える彼女を不思議に思い2人が声をかけると、顔を上げた彼女の目からはポタポタと大粒の涙が溢れていた。
「「えっ!?」」
「う、うぅ…!」
彼女は袋を握りしめて走り出した。
「Aっ…!」
クロは彼女を追いかけようとしたが椿にフードを引っ張られ首が絞まった。
「ちょっと!何でA泣いてんの!?兄さん何しての!?」
「知るかよ!さっきのはどう見てもお前のせいだろがっ…」
「せっかくバレンタインなんだからAからチョコ貰おうと思ってたのに…泣いちゃってたら貰えないしかわいそうじゃないか!」
「知るか…つかフード離せ、追いかけられねーだろ!」
「僕が追いかけるから兄さんは道端で昼寝でもしてたら?」
「はぁ?オレが追いかけるからお前は道端で奇声でも上げてろよ…」
「いーや僕が追いかける」
「オレだ…」
「僕が!」
「オレだ…」
「僕が!」
早くどっちか追いかけろ。
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星歌(プロフ) - カコさん» 私も最近嫌いになれない人だなと思うようにはなりました…。この小説だと完全悪者扱いですよね…すみません…!! (2018年2月24日 21時) (レス) id: a4174cb21e (このIDを非表示/違反報告)
カコ - 塔間さん嫌いにはなれないです…。 (2018年2月24日 16時) (レス) id: 667d573e94 (このIDを非表示/違反報告)
星歌(プロフ) - 唄さん» 大いに同感であります唄様…!!全てにおいて美しいですもんね、めんどくせーから家デートでとか言われても全然オッケーですもんね。むしろありがたき幸せ。クロ大好きです!! (2018年2月22日 21時) (レス) id: a4174cb21e (このIDを非表示/違反報告)
唄(プロフ) - 切実にあんな彼氏が欲しくなる、と言うかクロと言う名の彼氏が欲しくなりますね。 (2018年2月21日 21時) (レス) id: 4acb668125 (このIDを非表示/違反報告)
星歌(プロフ) - お菓子の家さん» コメントありがとうございます!わあ〜!!なんとありがたきお言葉!!そう言っていただけると、もっと頑張ろうと思えます(*´∇`*) 頑張らせていただきます! (2018年2月20日 21時) (レス) id: a4174cb21e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星歌 | 作成日時:2018年2月6日 20時