番外編 ページ44
「やっと着いた…………」
息を切らして駅から走ること20分。
「井上産婦人科」と看板が貼られた建物の中に入る。
もうここには何回も来ているので、受付の人も俺の顔を見て「赤葦さんですね!こっちですよ!」とAが居る部屋のところまで連れて行ってくれた。
連れてこられたのは個室の病室で、分娩室ではないのか、と驚く。
俺の表情を見たその受付の看護婦さんは、「陣痛は始まっているんですけど、まだ産まれるまでは時間がかかるんですよ。」と優しい声色で言った。
「A……!」
扉をガラッと開くと、ベッドに横たわっているA。
俺が来たことに気がつくと、顔をパァッと綻ばせた。
「京冶……!」
「ごめん、仕事ですぐ駆けつけてやれなかった。」
「全然……んんっ」
痛そうに顔を歪めるAを見て、慌てて腰をさする。
陣痛って、何分おきとかにくるんだよな……
切実に、変わってやりたい。
痛みが収まって、次の陣痛に備えていた時、ガラッと扉が開いた。
「あ、赤葦来たんだ。お疲れ様。」
「美紀さん……!」
レジ袋を片手に持った、美紀さん。
それから約6時間後。
助産師さんからの、「分娩室GO」が出た。
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作者名:*フィラ* x他2人 | 作成日時:2015年2月17日 20時