12 ページ12
「すみません、椎名(貴方)です。ケーキ取りに来ました。」
「はい、しいな…椎名様ですね。こちらでよろしいでしょうか?」
パカリと開かれたケーキ箱には私の大好きなチョコケーキがあった。
思わず「わぁ…」と声を上げた。
早く帰って両親に、家族にありがとうと言いたい。そう思う一心でケーキを崩さないように早走りで帰った。
帰った先には消防車がいた。
「…え?」
私の家じゃないよね。そう思って自分の家の場所を探した。
私の部屋番号は、402。
402…、よんまるに…、ヨンマルニ…、よん、マル、に…。
アッタ。
あ。
402から、ヒガデテル。
ケーキを抱え込んで座り込んだ。
とりあえずケーキをどこか安全なとこに移して、
家に、帰って、おかあさんに、あって、おとうさんに、いもうとに、ケーキ持ってきたよって、言わないと。
ケーキを木の下に置いた。
誰にも踏まれないように。
中に入ろうとした。
消防隊員のひとに止められた。
言葉が出ない。
はくはくと口が動く。
おかあさん、おとうさん、ひぃちゃん。
そのまま意識が遠のいた。
2人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:永遠 | 作成日時:2019年2月23日 23時