怪盗と街歩き ページ13
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「母は小さい頃病気で亡くなったの。今は父が町工場に勤めていて、家にはあまりお金が無かったから私は昔母が勤めていたから今のお屋敷に…それで…」
ハンバーガーを片手に、キッドはAの話に傾聴した。
鉄の扉を開くと、彼女は存外さっぱりとした性格で、キッドが尋ねると答えれる範囲の話を呆気なく聞かせてくれた。
例の澄まし顔は、徐々に緩み、普段のAを思わせるような顔色も時たま垣間見えた。
最初より随分砕けた口調も、不意に現れる笑顔も、緩やかな手つきも、彼女の何もかもがキッドの心を満たすような気がした。
叶うなら、これが普通の男女のデートで、警察に追われる心配や、午前零時という刻限がなければ良いのに。
キッドは心のどこかでそう願わずにはいられなかった。
「………まさか、こんな話初対面の人にするなんて。しかも貴方に」
Aは自分の置かれた突飛な状況を思い出すと、軽く笑った。
最初は只の、いや、国際犯罪者の宝石泥棒だったキッドが、今では年来の友人のような存在に思えていた。
キッドの名を呼ぶ時はわざと声を落とすのだが、それすらも隠れていたずらをしているようで、どこか面白かった。
Aは、自分もキッドと共に警察から逃げているような不可思議な気分だった。
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恋 - 一気読みしました!めちゃくちゃ続きが読みたいです!待ってます! (2022年9月13日 8時) (レス) @page48 id: 08a0986ba6 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します!とても面白かったです!もし続編があるのなら、続きを楽しみに待っています!(*´ω`*) (2022年2月10日 14時) (レス) @page48 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - shibuyuさん» ありがとうございます!続き早くお見せできるように更新頑張りますね(´˘`*)! (2019年7月11日 0時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)
shibuyu(プロフ) - 怪盗キッド!私も大好きなので萌えます!早く続きが見たいなー!なんてっ♪ (2019年7月8日 17時) (レス) id: 8ac4695b82 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - くろばさん» ひゃ〜〜めちゃくちゃ嬉しいお言葉ですありがとうございますー!これからもドキドキキュンキュンしていただけるように頑張りますので楽しみにしていただければ幸いです〜! (2019年7月4日 22時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)
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