怪盗と街歩き ページ12
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ハッとAをみると、Aは顔を背けていたが、その頬に微かな笑みが見えた。
キッドは初めてみたAの笑みに、一瞬胸の中が温かくなるような気がした。もっと見たいとも思った。
「…何か面白いことでも?」
「いいえ、なにも」
「そういう割には…随分…」
そこでまた一つ腹の虫が鳴る。
時と場所を考えずに叫ぶ腹の虫に、キッドは折角良い雰囲気なのだから少しは自重しろと心の中で叫んだ。
しかし、それが功を成したのか、隣でAがまた小さく笑った。
キッドがAを見ると、Aも愉快そうにキッドをみた。今度こそAの笑みがしっかりと見えた。
「フフ、大怪盗も、お腹は空くのですね」
「…そりゃ、まあ……」
「それじゃ、この近くのハンバーガー系列店はどうです。お財布はありますか?」
「本当はカークゲートマーケットなんかが良いかもしれませんけど、この時間は閉まってますから」と付け加え、Aは道の先を指差した。
キッドはAが誘うがままに着いていった。Aはようやくキッドに気を許してくれたのか、道すがら、キッドの食べ物の好みについて問いかけてきた。
そして不意に足を止め、向かい側の歩道に位置する店を指差した。
「魚料理の店ならあそこにありますよ」
「い…いえ、ハンバーガーで十分です。魚は結構」
内心多少の焦りを覚えながら、キッドはスッパリと答えた。
例えAの前だろうと、魚料理を平然と食べることは出来ない。以前青子に仕返しがわりに魚料理を振舞われたことを思い出し、キッドは肌が粟立つのを感じた。
キッドの焦りには気がつかなかったのか、Aは頷いて歩みを進めた。
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恋 - 一気読みしました!めちゃくちゃ続きが読みたいです!待ってます! (2022年9月13日 8時) (レス) @page48 id: 08a0986ba6 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します!とても面白かったです!もし続編があるのなら、続きを楽しみに待っています!(*´ω`*) (2022年2月10日 14時) (レス) @page48 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - shibuyuさん» ありがとうございます!続き早くお見せできるように更新頑張りますね(´˘`*)! (2019年7月11日 0時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)
shibuyu(プロフ) - 怪盗キッド!私も大好きなので萌えます!早く続きが見たいなー!なんてっ♪ (2019年7月8日 17時) (レス) id: 8ac4695b82 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - くろばさん» ひゃ〜〜めちゃくちゃ嬉しいお言葉ですありがとうございますー!これからもドキドキキュンキュンしていただけるように頑張りますので楽しみにしていただければ幸いです〜! (2019年7月4日 22時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)
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