検索窓
今日:159 hit、昨日:296 hit、合計:165,826 hit

第一話 怪盗キッドの予告状 ページ2

.

 ナーシェレ、正式にはグリーン・ナーシェレ『碧緑の贈り物』呼ばれるその宝石は、ラスマン家の所有する財宝類の中でも極めて大振りのダイヤである。

 その色はこの世にまたとない深緑色のうえ、ダイヤには金の装飾が施されて、ネックレスとして形を成しており、複雑な切子面が幾十にも光を反照させる世界有数の代物だった。

 そのナーシェレをいただくという予告状がラスマン家の屋敷に届いたのはつい数日前のことだった。
 予告状を一番に発見したのは、屋敷で勤めるメイドのAだった。


 数日前。朝方、Aが玄関先の清掃をしていると、上空を白い大きな鳥のようなものが駆け抜けていった。
 この国には物珍しい光景で、白鳥か何かだろうかと、Aが気を抜いてそれを眺めていると、大鳥の過ぎ去った上空からビラのような何かが一つAの元に舞い降りてくるのが見えた。

「……? カード?」

 ひらひらと空中を舞うそれを、箒を手放して掴みとり、Aは一面に描かれたイラストをみた。シルクハットに悪戯な笑顔を浮かべる男の可愛らしい絵が描かれている。

「なんで空から…」

 Aは不思議に思いながら、何気なく裏を向け、そこに書かれた内容に「あっ」と声をあげた。

『某月某日、グリーン・ナーシェレ「碧緑の贈り物」を頂きに参上する。怪盗キッド』

 一介の屋敷メイドであるAでさえその名を知るナーシャレを盗むという予告文。

 何かの悪戯にしても、質が悪い。
 念のため、そう思い、その予告カードを執事に渡したところ、事態はAの予想を遥かに上回り、騒々しく展開しはじめたのだった。

 

怪盗キッドの予告状侠←諸注意



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (165 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
412人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

- 一気読みしました!めちゃくちゃ続きが読みたいです!待ってます! (2022年9月13日 8時) (レス) @page48 id: 08a0986ba6 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します!とても面白かったです!もし続編があるのなら、続きを楽しみに待っています!(*´ω`*) (2022年2月10日 14時) (レス) @page48 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - shibuyuさん» ありがとうございます!続き早くお見せできるように更新頑張りますね(´˘`*)! (2019年7月11日 0時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)
shibuyu(プロフ) - 怪盗キッド!私も大好きなので萌えます!早く続きが見たいなー!なんてっ♪ (2019年7月8日 17時) (レス) id: 8ac4695b82 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - くろばさん» ひゃ〜〜めちゃくちゃ嬉しいお言葉ですありがとうございますー!これからもドキドキキュンキュンしていただけるように頑張りますので楽しみにしていただければ幸いです〜! (2019年7月4日 22時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:黒猫@さかなねこ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年5月22日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。