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消えない怪盗 ページ25

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 自分がキッドに恋してるなんて、どうかしている。

 Aはアンナの話をどうしても受け入れられなかった。衝撃的だったから覚えたのだと、友人のようだと感じたから忘れられないのだと考えたかった。

 そうでないと、また心が異様な寂しさに巣食われる気がしてならなかった。


「………」

 就寝前、共同風呂から戻ってAは部屋にいそいそと戻った。いつもは寝る前にアンナと二人で話したり、他の使用人数名でボードゲームをするのに、今日はどれも断ってしまった。

 無性に人肌が恋しかったが、何だか騒ぐほどの元気もなく、こういう時こそさっさと寝てしまうに限ると考えたのだった。

 布団に潜り込んでも、Aは暫く寝付けなかった。
 しかし、その内部屋のカーテンが開いたままであることに気がついた。真っ暗な部屋の中に、青白い月光が注がれている。それが目に眩しかったのだ。

 Aは立ち上がって窓に向かった。
 空には満月が高く昇りつめている。
 その目に沁み入るような月色に当てられ、Aは、あの夜もこんな満月だったことを思い出した。

 いや、今のよりも一回り二回り大きかったような……。
 そこまで考え、Aは満月を視界から退けるようにカーテンをサッと引いて、そのまま背を向けベッドに向かった。

 スプリングに体を沈み込ませながら、Aは心が空っぽになっていく感覚を覚えた。



 コンという軽快な音に、Aは微睡みはじめていた意識を引きずり上げられた。
 再び、コンと音がなる。

 隣室で誰か騒いでいるのだろうか。
 隣のアンナの顔を思い浮かべながら、Aは身動ぎしてベッドに埋まった。

 すると、また鳴る。今度こそAも目が覚めた。

「……なに…?」

 部屋を見渡すが、音が出るようなものはない。
 ふと妙な空気を感じて、Aはカーテンのかかった窓をみた。

 そして、そこに写る巨大な影に目を見開いた。

「………」

 最初は木の影か、窓際に留まった鳥の影だと思ったが、立地や大きさを考えるとそんな筈がなかった。
 影は揺らめいて微かな伸び縮みを見せていたが、Aは不思議と怖くはなかった。

 引き寄せられるように窓辺に向かい、Aはカーテンの端を掴んだ。

 開くと、窓際に腰かけた真っ白な男の姿があった。Aは息を飲んでその目を見た。

 その目は満足そうに細まり、冬の湖のごとく澄んだ青の瞳が、驚嘆に満ちたAの顔を映し込んでいた。

 

第九話 怪盗と邂逅→←消えない怪盗



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- 一気読みしました!めちゃくちゃ続きが読みたいです!待ってます! (2022年9月13日 8時) (レス) @page48 id: 08a0986ba6 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します!とても面白かったです!もし続編があるのなら、続きを楽しみに待っています!(*´ω`*) (2022年2月10日 14時) (レス) @page48 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - shibuyuさん» ありがとうございます!続き早くお見せできるように更新頑張りますね(´˘`*)! (2019年7月11日 0時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)
shibuyu(プロフ) - 怪盗キッド!私も大好きなので萌えます!早く続きが見たいなー!なんてっ♪ (2019年7月8日 17時) (レス) id: 8ac4695b82 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - くろばさん» ひゃ〜〜めちゃくちゃ嬉しいお言葉ですありがとうございますー!これからもドキドキキュンキュンしていただけるように頑張りますので楽しみにしていただければ幸いです〜! (2019年7月4日 22時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒猫@さかなねこ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年5月22日 2時

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