消えない怪盗 ページ24
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一瞬反応の遅れたAに、アンナが目をつけ、話を聞き出そうと詰め寄った。Aはしどろもどろに返事をした。
「…気になるっていうより…ただ頭に残ってて……」
「バカ、それを気になるっていうのよ! それで、その人って誰よ」
「キッ……じゃない!」
#なまえ#はうっかり口を滑らせそうになり、アンナの目の前で言葉を飲み込んだ。
「え、何よ。キ?」
「ううん。えっと、キ、き…聞いてないの。そう、一回しか会ったことなくて」
これも確かに事実である。キッドの本名をAは聞いてないのだから。
Aの返事を耳にすると、アンナは目を見張らせた。
「聞いてないって…もしかして一目惚れでもしたの? いつ、どこで? 駅のホームとか?」
「一目惚れなんかじゃないわ…ただ、ええと…街で出会ったの。それもちょっとお話ししただけなのよ」
「でもその時が忘れられないんでしょ?」
#なまえ#が恐る恐る頷く。アンナは少し目を瞬かせてから言葉を続けた。
「……A、言っちゃあ悪いけど…貴方、自分のことはあんまり察しが良くないのね」
アンナはAの信じ難い鈍さに呆れていた。普段はしっかりしていて頼りになるのに。
しかしこのまま放って置くと、Aは自分の心に新しく芽生えた想いに一生気がつかないだろう。
「……貴方その人に恋しているのよ」
Aはアンナのすっぱりとした言葉に耳を疑った。
そして即座に「恋なんかしていない」と言挙げしようとしたが、肝心の反論が喉で引っかかって出てこなかった。
アンナはそれからまだ話を続けようとしていたが、壁掛け時計が一つ鐘を鳴らして休憩時間の終了を知らせたので、話は等閑に終わった。
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恋 - 一気読みしました!めちゃくちゃ続きが読みたいです!待ってます! (2022年9月13日 8時) (レス) @page48 id: 08a0986ba6 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します!とても面白かったです!もし続編があるのなら、続きを楽しみに待っています!(*´ω`*) (2022年2月10日 14時) (レス) @page48 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - shibuyuさん» ありがとうございます!続き早くお見せできるように更新頑張りますね(´˘`*)! (2019年7月11日 0時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)
shibuyu(プロフ) - 怪盗キッド!私も大好きなので萌えます!早く続きが見たいなー!なんてっ♪ (2019年7月8日 17時) (レス) id: 8ac4695b82 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - くろばさん» ひゃ〜〜めちゃくちゃ嬉しいお言葉ですありがとうございますー!これからもドキドキキュンキュンしていただけるように頑張りますので楽しみにしていただければ幸いです〜! (2019年7月4日 22時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)
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