第8話 ページ9
『婚約発表は明日するわ。それに兼ねて午後は婚前パーティーをしますから洋風のドレスにしなさい。発表の一週間後貴方は矢ノ川家の人間となります。』
『今日は昭忠さんのとこへ行きなさい。』
『丁度親からも見放されているような子が1番扱いやすい。』
グルグル頭の中を駆け巡る、終わりへの時間。
鏡をいくら見直しても時間も髪の毛は戻らない。
「…逃げ出そう。」
そう。誰もいない場所に。
「どこに行くんだい?」
「っ…!…矢ノ川さん…。」
両親の前でしていた爽やかな笑顔とは違い、
まるで商品を愛でるようなそんな眼差し。
「まぁ、君は一生逃げられないよ。…いや、離さない。」
「…お言葉ですが私は違う人が好きなんです。
絶対に誰にも揺らがないんです!
この気持ちだけは!無くしたくない!
…あなたは何故好きでもない私なんかと。」
「はぁ…うるせェ女。」
ドンッ
「な…い、いや!」
「男女が屋根の下2人する事と言ったらたった一つだろ。」
「婚前交渉は許されませ…んよ」
「…どうしても、か。なら、選択肢をやろう。」
男は声音を高らかに上げていた。
「俺に体を売るか、その中を売るか…つまり臓器売買だ。」
臓器売買を行ってもきっと母上と父上は自分の家が安泰すれば良いのだろう。
せめて死ぬ時だけは綺麗なままでいたい。
「…後者にします。
貴方に捧げるより、商人に私の臓器が行こうがその先に助けられる命の為になら…
私はその人の人生の歯車となって生きていたい。」
「本当に左衛門さんの言う通り頭が悪い女だな。」
男は前者を選択すると思ったのだろう。
でも好きな人と結ばれずに
自分を大切にしない人と共に歩んで行くよりも
私はあの人を思いながら死んでしまいたい。
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叶優(プロフ) - すみません。第4話がR18グラフがたつワードがあったみたいです…。なので他の話と違い1文字1文字に空白を開けてます。もし何のワードがR18か分かったら教えてください! (2019年6月21日 21時) (レス) id: 03562ee42c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:叶優 | 作成日時:2019年6月20日 21時