46.人生 ページ47
A｢気持ち悪い｣
｢そう？僕は結構好きだけど｣
A｢変な鬼｣
そもそも鬼という外道な存在が花を好きになること自体が意外だ。
A｢…なんで貴方は…｣
｢名前｣
A｢…？｣
｢名前がいい。でも僕には名前が無いんだ。
Aが考えてよ｣
そんな無茶振りを言われても…
A｢ゴリラでいい？｣
｢え…｣
A｢嘘、ごめん｣
思わず反応にクスッと笑ってしまう。
A｢じゃあ…りん｣
｢りん？｣
A｢その花、リンドウなんでしょ？だからりん｣
竜｢りん…竜胆の…竜…
うん、気に入った、ありがとう！｣
竜は満面の笑みで笑った。
竜｢…僕、Aが好き｣
A｢すき？｣
竜｢うん、好き。Aは？｣
すき。すき…好き？
好き…
ー大丈夫だって！俺がいるもん
ね？だから安心してよー
この声は…だれ？
私は確か、誰かを探していた気がする。
誰かに会わなきゃいけなかった気がする。
ーうん…ありがと、ー
A｢乃木くん…？｣
竜｢乃木…？｣
私はその場に立ち上がった。
A｢そうだ…私、乃木に会わなきゃ｣
竜にそう言うと、竜は少しだけ顔を曇らせた。
竜｢乃木って誰？｣
A｢私の神様。乃木修一…乃木に会わないといけない。｣
竜｢好きなの？｣
A｢…うん、好き。私、乃木の事が大好き｣
竜｢………そっか。A、左手の薬指出して？｣
私はそう言われ、素直に薬指を差し出した。
A｢何するの？｣
竜は無言のまま、私の薬指に噛み付いた。
A｢いっ…？！｣
がりっと音がたった。私の薬指からは血がたれ流れている。
竜｢これは婚約の証。もし将来、僕が乃木修一に勝ったら僕と結婚して？｣
A｢え…？｣
竜｢僕が君を生き返らせてあげる。
今から三途の川に行って。そして渡らず、真ん中で止まって｣
A｢わ、分かった…｣
私は竜に言われた通り、急いで三途の川まで走った。
そして、真ん中まで行って止まる。
A｢？！｣
いきなり川の中に引きずり込まれ、そのまま私は意識を失った。
ーーー
そうだ。私、中学の時からじゃない。
前から竜くんと会ってたんだ…
なんで忘れてたんだろう…
ｼﾞｼﾞｼﾞ…と機械音が私の頭の中に響く。
目を開け体を起こすと、私の目の前にはテレビが置いてあった。
A｢…は？なにこれ…｣
テレビには題名が映し出されていた。
"乃木修一の人生"
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作者名：霊来 | 作成日時：2023年7月27日 4時
