3.謎の事故 ページ4
乃木｢あー…なに、その、せっかく来たんだし、遊んでいけば？
な！ロッティ、ユイちゃん！｣
半ば強引に提案すると、ユイちゃんは笑顔で頷いてくれた。ロッティは気難しそうな顔をしたあと、｢お前が傍にいるなら｣と条件付きでOKしてくれた。
ミズチ｢…でもさ、さっきの…なんだったの？｣
A｢……｣
乃木｢Aは昔から他の人より"見える"んだよなー。俺には見えたことねーけど｣
ロッティ｢…"見える"…それが共有されたってことか…？｣
ユイ｢本来僕たちには見えない何かが見えてしまったってこと？｣
A｢それなんだけど…その…乃木｣
乃木｢ん？｣
A｢私、1度死んだんだ｣
乃木｢……………は？？｣
ーーー
A｢ってことです。｣
マット｢謎の事故で1度死んで、賽の河原で獄卒から逃れて生き返る…？
ほ、ほんとにそんなことあるの？｣
マットさんはパソコンを弄りながら聞いてきた。
そう、私は1度死んだのだ。
乃木が留学に行ったと乃木の父親に伝えられた、あの日。
何を思ったのか、まだ間に合うと信じて田んぼ道を走っていた時だった。
｢乃木のやついなくなったってな｣
なんで。
｢祭りの事が外部に漏れてしまう…！｣
いいじゃないか。
｢ああ、もしバレたらこの村は…｣
どうにでもなれ。
｢殺さなければ｣
…誰を？
｢一刻も早く、乃木修一を殺さなければ__｣
………
……………………
……………………………やめろ。
やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ。お前らのせいだ。お前らのせいだ。乃木が遠くに行ったのはお前らのせいだ。
死ね。死んでしまえ。村諸共焼き爛れてしまえ!!!!!
…そう、思った。
ふとした瞬間、目の前には炎が燃え上がっていた。
体が熱い。痛い。
周りにいた人間も、心配せず気味悪そうな顔で見ていた。
ああ、乃木は、こんなにも、きつかったんだ。
ごめんね。
ごめんね、乃木くん。
心の中で乃木に対する謝罪を何度も何度もした。
していくうちに、体の痛みは消え去った。
でも、意識はまだあった。
先程まで朦朧としていた意識がはっきりとしてきた頃、私は目を開けた。
そう、そこが
ー賽の河原だったー
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作者名：霊来 | 作成日時：2023年7月27日 4時
