12.自覚 ページ13
A｢起きてたの…？｣
乃木｢トイレ行ったらジョージが騒いでてさ〜
今すぐあの部屋に行きなさいって言うからどこかと思ったらAの部屋だったんだな｣
A｢ジョージ…？｣
馴染みのない名前に首を傾げるA。
どうせいつか会うんだし明日にでも会わせるか。
そんなことを考えつつジョージについて説明する。
乃木｢でさ、A｣
俺が名前を呼ぶと、Aは眉をひそめた。
嘘を付けないようじっと目を見つめて俺は聞いた。
乃木｢日本に帰るつもりだった？｣
A｢……うん。｣
乃木｢ここ、居心地悪かった？｣
A｢え、そんなことない…！｣
乃木｢じゃあ、できることならずっとここにいたい？｣
俺がそう聞くと、Aは間をあけて小さな声で答えた。
A｢…いたい…｣
うん、だよな。俺はそれが聞けただけで充分
乃木｢何を思ったのか知らねーけど、Aがここに居る理由なんてそれだけでいーじゃん？
あんま深く考えんなって｣
安心させるためにAの頭を撫でると、俺のことを見たまま目に涙を溜めていた。
A｢…ぅ…あ、｣
乃木｢え、ちょ、A？！｣
A｢乃木ぃぃ〜〜…｣
Aは泣いたまま抱きつき、俺の胸に顔を埋めてきた。
いやいや、部屋に男女2人なのに抱きつくって危機感なくない？まー俺だからいいけど
それから俺は、頭を撫でながらAの話を沢山聞いた。
俺がいなくなって寂しかったとか、怖かったとか、ずっと会いたかったとか…普段なら絶対言わないような本音を言ってくれた。
その度、俺は言わずに村を出たことを後悔した。
俺がちゃんと言ってれば、人生で2度死ぬなんて経験、しなかったのかな。
俺もちゃんと、言わねーとな。
乃木｢…俺も、ごめn｣
A｢大好き…｣
……は？？
ん、え、へ？？
A｢私だけの神様になってなんてわがままは言わないから、ずっと、傍にいて欲しい…っ、
こうして、慰めて欲しい…｣
本人は気付いてないのか、止まることなく話し続けた。
い、いや、もしかしたら俺の事他の誰かと間違えてるかもだし。いやそれはそれで嫌だけど…なんて自分で考えてモヤモヤしていると、Aはまた口を開いた。
A｢乃木、好きだよ…｣
乃木｢っ……？？｣
お、俺じゃん〜……乃木って…俺じゃん…？
ふと部屋にある鏡に目がいった。
鏡には、耳まで赤く染った俺の姿が写し出されていた。
乃木｢っ〜〜〜…まじかぁ…｣
Aに言うことが増えました。
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作者名：霊来 | 作成日時：2023年7月27日 4時
