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10.ここに居たい ページ11

「知ってる?」

「乃木修一って、我慢してるんだよ」

「神力、ほんとは使いたくないんだよ」

「あなたはね」

「なれないんだよ」

「お姉さんの代わりになんか」

ーなれないー

A「ッ…!?」

勢いよく体を起こす。

心臓がどくどくと脈を打っている。

今の、なに。

乃木が、我慢してる?本当は、無理してる…?

お姉さんの代わりって…なに…。そんなの、なろうなんて…。

A「……帰らなきゃ」

自然と、口にしていた。
自然と、そう思ってしまったんだ。

ただの夢の中の話でも、乃木が大丈夫と口にしても、心は不安に駆られてしまう。

こんなんじゃ、きっと、いつかは迷惑をかけてしまう。
もう、乃木に辛い思いはさせたくない…。

幸いなことに今はまだ深夜。ユイちゃんも、ロッティも、乃木もきっと寝ている時間帯。

帰れなくても、離れないといけない。私が近くにいたら、ダメなんだ。

私は部屋の中で静かに身支度を整え、窓の外を見つめた。

A「…会えて、良かったよ」

さあ、行こう。

そう思って振り返った時だった。

乃木「こんな夜中にどこ行くつもり〜?」

スーツケースに座ってこちらをじっと見つめている乃木がいた。

え、なんで。

A「起きてたの…?」

あんなに静かに用意したから、物音で起きるなんてことは無いはず。

乃木「トイレ行ったらジョージが騒いでてさ〜

今すぐあの部屋に行きなさいって言うからどこかと思ったらAの部屋だったんだな」

A「ジョージ…?」

乃木「ロッティについてるお風呂の霊的な?ジョージとうさぎ野郎はなんか会話できるんだよね

でさ、A」

乃木はよいしょとスーツケースから立って、赤い目で私をしっかり捉えた。

乃木「日本に帰るつもりだった?」

A「……うん。」

乃木「ここ、居心地悪かった?」

A「え、そんなことない…!」

乃木「じゃあ、できることならずっとここにいたい?」

質問を重ねる乃木を不思議に思いつつも、私は答えた。

A「…いたい…」

乃木「何を思ったのか知らねーけど、Aがここに居る理由なんてそれだけでいーじゃん?

あんま深く考えんなって」

そう言って乃木は優しい笑顔で頭を撫でてくれた。

A「…ぅ…あ、」

乃木「え、ちょ、A?!」

A「乃木ぃぃ〜〜…」

思わず抱きつくと、乃木は驚きつつも抱き返してくれた。

ーーー

ここから、始まりますよ。

ーーー

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作者名:霊来 | 作成日時:2023年7月27日 4時

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