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陶器のような白く美しい肌。端麗で中性的な容姿からは、どこか人間離れしたものを感じる。
実際、違和感があった。なぜ屋根の上に。なぜ柱でないのに柱合会議へ。いつの間に。
しかし、甘露寺は警戒できなかった。鬼の気配が全くしないのもあるが、明らかに人ならざる者だというのに、声色や表情があまりに穏やかで、思考を止められているような感覚に陥っていたからだ。
喩えるならそう、産屋敷のような。
「おや、女の子だね。確か桃寿郎君の息子の槇寿郎君……の息子の杏寿郎君の継子だったかな」
地面に音もなく降り立って、彼は美しい所作で花が風に揺れるように甘露寺の前まで歩いてきた。甘露寺は体を動かそうとしたのに、なぜだかぴくりとも動かない。
「蜜璃ちゃん、初めまして。僕はA。よろしくね──」
ひゅんと目の前で頸が飛ぶ。隣の煉獄が刀を振り抜いていた。Aと名乗った彼の飛んだ首で、瞳の色が変わる。猫のような瞳孔が一瞬だけ確認された。
はずなのに、Aは変わらずそこにいた。頸が戻ったというよりも、初めから斬られてなどいないかのように。
そして、先程までの柔らかな雰囲気とは比べ物にならないほどの禍々しい鬼の気配。空気に重力を感じるほどの、大抵の剣士なら立っていられないような威圧感を肌で感じた。
「申し訳ない御館様！ 目の前で継子である甘露寺に
「人聞きが悪いなあ、少なくとも今は取って食ったりしないよ。杏寿郎君」
煉獄がこうしてはっきりと怒りを顕にするのは鬼を前にしたときだけだと、甘露寺は知っている。
そうでなくとも今煉獄の口から出た名前。Aの苗字は、あの。
「そう、僕は鬼舞辻A。鬼舞辻無惨の下きょうだいさ。男か女かなんて野暮なことは訊かないでおくれよ？ 愛することも子供をこさえることもない鬼という生物にとって、そんなことは心底どうでもいいことだからね」
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