ミイラ取り:Ryo ページ6
悪い男に騙された。私の代わりに仇をとって欲しい。
友達にそんなことを言われて、男の行きつけの店に向かった。その人の顔写真と名前だけ聞いて、そんな簡単に出会えるわけないじゃんと半分疑いながらカウンターで1人お酒を飲んでいると私の隣に誰かが腰掛けた。
「ねぇ、1人?」
声を掛けてきたのは間違いなく写真で見た通りの男。細い目にすらっとした身体、清潔感のある服と、少しだけ高そうなダメージジーンズ。ふぅん、やっぱりどんな女にも声掛けるんだ?
『1人ですけど』
「隣いい?」
『別にいいですよ』
薄っぺらい会話を返しながら女慣れした彼のコミュニケーションに合わせ連絡先を交換した。そんな出会い。
何度かご飯に誘われて、まるで呪術にかけられたように彼に興味が湧いている自分に気付いた。はじめの思惑とは全く違う自分の気持ちに不快感が溢れかえる。なに懐柔されてるんだ私は。次はちゃんとしなきゃ。そう決めた翌日、彼の家にお呼ばれした。
「汚いけど上がってよ」
『ほんとに汚いと思ってたら家に人を呼ばない癖に』
「一応そういう謙遜じゃん笑」
いつの間にか自分の口角が上がってる事に気付き慌てて口元を引き締める。こっちおいでと呼ばれたのは2人がけソファー。彼の隣に腰掛けると、コツンと膝を当てて私の方を向いた。流れるように私の手を取り、爪を弄り始める。
「青色好きなの?」
『好きだよ昔から』
「俺のメンバーカラー青なんだけどな〜」
『ふぅん』
私を射抜こうとする瞳から逃げ、どう攻撃しようかと悩んでいると彼が先手を打った。私の顔を両手で掴み、鋭い視線に貫かれる。
「なんでこっち見ないの」
『...○○って知ってるでしょ?』
「あー、知ってるよ?友達?」
『なんで遊んだの、あの子の事。』
ぽかんと私を見ていた彼はニヤリと口角をあげる。
「可哀想に、真っ直ぐにあの子の事信じたんだ?笑」
『なに、』
「俺が遊ばれたんだよ?あの子他に彼氏居たもん。そっか、友達なんだ?俺にお似合いの残念な子紹介してあげるって言われてたなそういえば。」
ああ、まただ。いつもこうやって友達に裏切られる。ちょっと怪しいとは思ってたんだけどなぁ...
「でも残念とは程遠い女の子紹介してくれたんだね?あの子もたまにはいい事するじゃん。」
するりと私の頬を撫でた彼は甘い口付けを落とした
「これ、遊びじゃなくて本気だから」
ミイラ取りがミイラになるとはまさにこの事だ。
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むう - めちゃくちゃ大好きです!これからも応援してます! (2022年5月7日 22時) (レス) @page37 id: 0b4c79d36c (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - りあさん» ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします! (2020年12月11日 17時) (レス) id: e3e12464ab (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - モーニングルーティンの小説とても好きです。これからも更新楽しみにしています。 (2020年12月8日 16時) (レス) id: 1311488687 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - かりんとうさん» 具体的なシチュエーションなどはございますか。あれば助かります。 (2020年11月3日 15時) (レス) id: e3e12464ab (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - 初めまして、良ければワタナベマホ君の小説を書いて欲しいです!! (2020年10月30日 10時) (レス) id: 4f5e255211 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴあ | 作成日時:2020年3月11日 21時