地雷処理:Jintan ページ29
『ねぇ、』
｢ん？なに？｣
『別れよっか』
｢はっ！？｣
全力で驚き、なんでなんでと私の腕を掴む彼はまだ少し髪の毛が濡れていた。彼の撮影用スタジオに来ていた私は言いたかった話がようやく出来て既に達成感すらある。
｢ねぇ、なんで？俺の事嫌いになった？｣
『嫌いになったのは私じゃなくてじんでしょ？』
｢なんで！そんなわけないじゃん！｣
『じゃあ私の身体に飽きただけ？』
彼をじっと見つめると視線が大きく揺らぎ、口をパクパクと動かした。
『ここに何人連れ込んだの？』
｢...A、勘違いしてるよ｣
『何人とホテル行った？』
｢A違う、ほんとに俺してない｣
『ポイントカードまで使ってホテル行ってさ』
｢A！！！してないってば！！｣
『そうやって大声出したらビビって黙ると思ってんだ？』
固まった彼は興奮して立ち上がろうとしていた身体を緩めてまた腰を下ろした。私の手は彼の暖かい手に包まれて、無意味な言い訳を聞かされるようだ。
｢ホテルは確かに行ったけど1人で行ったし浮気なんてしてない。ここに連れ込んでもいない！｣
『ふぅん、じゃあそういうことでいいよ。どっちにしろ別れるから私はなんでもいい。』
｢ねぇ、待ってA、ほんとにしてない！なんで別れるとか言うの？｣
『バレてるのによくそんな嘘つけるね』
｢嘘ついてないって！｣
必死に媚びる彼はきっと知らない。私が彼の遊び相手の女からSNSで嫌がらせをされたこと。その女はじんのファンで、1回スタジオに上がっただけなのに彼女面してInstagramの裏垢でマウントをとっていること。そして彼女がこの建物に引っ越してくること。こんな害でしかない女が近くにいる限り私は幸せになれる気がしない。
『じん、見苦しいよ。』
変わらない冷めた目で彼を見つめるとようやく私の手を離して自らの頭を抱えた
｢...別れたくないよ｣
『だったら火遊びなんて辞めとくべきだったね』
｢俺、絶対しないから...もう1回チャンスちょうだい？｣
『じん、そのチャンスを捨てたのは自分でしょ？』
なかなか引かない彼を見て、帰ろうかと立ち上がった瞬間私の身体は彼に抱き締められた。
｢お願い、ほんとに好きなの...｣
その時ピンポーンと呼び鈴が鳴った。酷く嫌な予感がする。早く出なよと彼の背中を押して帰り支度を始めた時、玄関口から女の声が聞こえた。
｢私ここに引っ越してきたの！｣
ああ、遅かった。地雷が向こうからやってきた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 258人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
むう - めちゃくちゃ大好きです！これからも応援してます！ (2022年5月7日 22時) (
レス) @page37 id: 0b4c79d36c (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - りあさん» ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします！ (2020年12月11日 17時) (レス) id: e3e12464ab (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - モーニングルーティンの小説とても好きです。これからも更新楽しみにしています。 (2020年12月8日 16時) (レス) id: 1311488687 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - かりんとうさん» 具体的なシチュエーションなどはございますか。あれば助かります。 (2020年11月3日 15時) (レス) id: e3e12464ab (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - 初めまして、良ければワタナベマホ君の小説を書いて欲しいです！！ (2020年10月30日 10時) (レス) id: 4f5e255211 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぴあ
| 作成日時：2020年3月11日 21時
