DOLL:Kanta リク ◎ ページ20
もう何日陽の光を浴びてないだろう。テレビに映る嫌なほど真っ青な空といちいち大袈裟なリアクションをする某タレント。ぼうっとテレビに向けていた視線を自らの手元に映すと長く伸びた爪が目に入った。そっか、ここに来てから爪の手入れなんかしてなかった。伸ばしっぱなしの髪の毛がさらりと揺れてそこからほんの少しだけ香った彼の匂いに縋り付くように髪を掴み鼻に押し当てた。
ゴロゴロ、と不穏な天気の知らせがどこか遠くで聞こえて急に寒気を覚えた。私が身につけるのを許されているのは上下の下着と彼の買った大型犬用の首輪だけ。突如玄関先で微かな物音が聞こえて見に行くと丁度彼が帰宅した所だった。閉まる寸前の扉の隙間には曇天が見える。
『おかえりなさい』
「腹減った、これチンして。」
渡されたのはコンビニの袋に入ったお弁当2つ。今日も疲れてるらしく私の隣を素通りしてリビングのソファーに腰掛けた。急いでキッチンに入りお弁当を温め、ダンボール箱からお茶を取り出し彼の元まで持っていった。
「俺唐揚げ弁当」
『分かった』
言われた通りに唐揚げ弁当を手渡しじっと見つめると顎でもう一方の弁当を指した。
「それAのって意味。」
『いいの...?』
「要らないの?」
『ありがとう...』
嬉しい。彼が私の為に何かをくれるだなんて幸せだ。昨日もパスタをくれた。今日はのり弁当。ちくわの磯辺揚げを口に入れると油の香りがふわっと香る。何よりも美味しくて愛おしい。だって彼が買ってくれたから。幸せに頬を緩ませていると、突然お箸を置いた彼が私の腕を引いた。顔をあげると彼は不敵に笑ってる。向かう先は寝室で私の好きな時間、沢山名前を呼んでもらえるから。
ベッドに腰掛けた彼の足元に膝を付きベルトに手を掛けた。彼の服を脱がせると手と口で奉仕して、私が跨るのがいつもの流れ。それなのに今日ははじめて私が押し倒され、首を噛まれた。鋭い痛みが走ってシーツをキツく掴んだ私を見て笑った彼の唇には少しだけ私の血が付いていた。
「A、誰が好きなの、ちゃんと言って」
『寛太くんっ、寛太くんがすきっ』
いつもなら私が上なのに、私が組み伏せられて彼が腰を振ってる。期待してしまいそうだ、まるで私としたいと思ってくれてるみたいで。力強い彼の動きに頭の奥まで揺さぶられて現実か夢か分からなくなる。
『ぁ、すき...すきぃっ♡』
貴方の人形で居られたらそれでいいと思ってたのに、欲深い私をどうか許して
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むう - めちゃくちゃ大好きです!これからも応援してます! (2022年5月7日 22時) (レス) @page37 id: 0b4c79d36c (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - りあさん» ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします! (2020年12月11日 17時) (レス) id: e3e12464ab (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - モーニングルーティンの小説とても好きです。これからも更新楽しみにしています。 (2020年12月8日 16時) (レス) id: 1311488687 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - かりんとうさん» 具体的なシチュエーションなどはございますか。あれば助かります。 (2020年11月3日 15時) (レス) id: e3e12464ab (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - 初めまして、良ければワタナベマホ君の小説を書いて欲しいです!! (2020年10月30日 10時) (レス) id: 4f5e255211 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴあ | 作成日時:2020年3月11日 21時