放任主義:Tetsuya ページ21
構って欲しかった、そんなガキ臭い言い訳が通るならそう言わせて欲しい。
彼と出会い身体の関係になって、彼女になるまでにそう時間は掛からなかった。彼は縛られるのを嫌う性格だし、女遊びは辞めんよと直接言われていたから今まで1度も不快感を顕にしたことは無かった。それでも不快な物は不快だ。私の彼なのに他の女を抱き、口付けを落とすだなんて考えただけで胃がムカムカして鼻の奥がなんだか酸っぱかった。
それを紛らわせようと始めたのは馬鹿な彼氏がやってる事と同じようにせふれを作り、違う男に抱かれることだった。全く満たされない行為を終えて相手が疲れ果てて寝てる間に折半分の金額を枕元に置き、ホテルから帰るのが週に3.4回続いた。家に帰ると何故か鍵が空いていて、玄関には男物の靴。リビングに入るとやっぱりそこには彼が居た。
「なぁ、最近なんでうち来んの?」
『だって行ったとしても撮影か遊び行ってて居らんやん。』
「ねぇ、怒っとん?」
『何も怒ってないけど』
洗面所に入って顔を洗いそのままお風呂に入った。熱いお湯が身体を暖めている筈なのに心は冷えたままで全く温まる様子がない。頭からシャワーを浴びてると脱衣場から音がする。嘘でしょ、勘弁してよ...
「俺も入る〜」
『もう私上がるけど』
「やっぱり怒っとるやん」
彼は私の頬を片手で挟み、ぶちゅっと効果音が出そうなくらいのキスを落とした。キスすれば機嫌が取れると思ってるんだよなぁこの人。
『...先上がってるから』
「ちょっと待ってって。なんで機嫌悪いん?俺なんかした?」
『別に』
「なんもないのに機嫌悪くなるわけ...ない...」
急に声色が変わったと思えば彼は私の肩当たりを凝視してる。
『...てつや?』
「これ、誰の?」
彼が指さした先にはいつ付けられたか分からない鬱血痕。今日かな、分かんないけど。
『せふれだけど』
「人のもんに跡つけるのはマナー違反でしょ」
『私てつやのものじゃないから』
「は?え?なんで!?他に好きな人おるん?」
『私は私のものだから...縛られたくないなら縛らないで』
バタンと閉じられたお風呂場の扉。閉じられたのはお風呂場の扉だけじゃない。お互いの暗黙の了解に侵入した彼を私が締め出した音だ。
やっと気付いた。今まで彼に反発して始めた不貞行為なのに抜け出せなくなっていたのは私だった。優先順位が今変わった音がした。
よにんぷれい:Tommy リク ◎→←DOLL:Kanta リク ◎
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むう - めちゃくちゃ大好きです!これからも応援してます! (2022年5月7日 22時) (レス) @page37 id: 0b4c79d36c (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - りあさん» ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします! (2020年12月11日 17時) (レス) id: e3e12464ab (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - モーニングルーティンの小説とても好きです。これからも更新楽しみにしています。 (2020年12月8日 16時) (レス) id: 1311488687 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - かりんとうさん» 具体的なシチュエーションなどはございますか。あれば助かります。 (2020年11月3日 15時) (レス) id: e3e12464ab (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - 初めまして、良ければワタナベマホ君の小説を書いて欲しいです!! (2020年10月30日 10時) (レス) id: 4f5e255211 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴあ | 作成日時:2020年3月11日 21時