一人にしたくない。 ページ7
結局私は神谷さんの熱に負けてしまった
だってあんなに真剣に言ってくるんだよ!?
あんないい人のがっかりした顔を見たくないって思ってしまったんだ……
私が「お願いします」って頷いたらあの人、ぱぁぁって表情が明るくなって……!
あんなかわいい大人が居ていいのか……‼
……とりあえず、
今、私は神谷さんの車に乗ってその新しい家に向かっている。
助手席から神谷さんの横顔をちらりと見た
「あの…神谷さん」
神「ん?何??」
「神谷さんは、なんで私の事を知ってたんですか?名前とか…」
神谷side
そっか、Aちゃんにとっては俺は突然現れて名前だけ名乗った得体の知れない人なんだった…
Aちゃんからの質問でようやく自分の事について名前しか言ってない事に気づいた。
神「君のお父さんがね、うちの社長の恩人だったらしいんだ。社長は君のご両親が亡くなったって聞いたとたん仕事の予定を全部延ばして、すっ飛んで行ったんだよ。
その時の流れで僕も行くことになったんだけどね。」
「そうなんですか…!?
恩人なんて…聞いたことなかったなぁ」
ふと、Aちゃんの横顔を盗み見ると、とても驚いているのか、ぱちぱちと何度もまばたきを繰り返していた。
『感情の無い子。』
呟くようにささやかれる誰か知らない人の声を思い出した。
『泣かないなんて…冷たい子だ。』
ひっそりと行われていた葬式で、初めてAちゃんを見たときに聞こえてきた声。
それはたった一人の少女に対する言葉だった。
ただ遺影を見つめ、涙はこぼれていない、
それは、泣くのを我慢しているわけでもない。
彼女を守る者は誰も居ない、そんな様子の子供に向かう視線は冷たかった。
『誰があの子を引き取るの…?』
『もう高校生でしょ…?引き取ってほっといたらいいじゃない』
『うちは子供が3人もいるんだぞ…!お前が引き取れよ』
『いやよ…!』
もうやめろよ、思わず叫び出してしまいそうになったとき、ずっと黙っていた社長が手を前に出して俺を制した。
そして、
あの子を引き取ろう。静かにそう言ったのだ。
神「……社長がね、君を引き取りたいって言ったんだ。」
「しゃ、社長がっ!?ですか!?」
『冷たい子。』
そんなわけない。
16歳の子にそれはないだろ。
感情だって、あるに決まってんだろ
さっきよりずっと大きく目を見開いたAちゃんを見て、おかしくて笑ってしまった。
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咲(プロフ) - めちゃくちゃ泣きました。大号泣です(´;ω;`) (2019年10月28日 8時) (レス) id: b485c04083 (このIDを非表示/違反報告)
はやゆか - この作品を読んで号泣した一人です。更新楽しみにしています。 (2019年1月30日 2時) (レス) id: 2334c267ac (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - 最後、めっちゃ泣きました。こんなに泣いたの久しぶりってくらい。続編はどんな感じになるんだろう。これから読むのが楽しみです!! (2018年10月16日 13時) (レス) id: 2082d86ac9 (このIDを非表示/違反報告)
声優って良いよね。 - 号泣じゃ収まらん......大号泣...... (2018年7月14日 15時) (レス) id: d5b8d65653 (このIDを非表示/違反報告)
ナツ - …………。°(°`ω´ °)°。ピィー!!!!!!!なにこの作品!感動するんだけど!。゚ヽ(゚`Д´゚)ノ゚。ウワァァァン!!!!!更新頑張ってください!!!!! (2017年11月14日 4時) (レス) id: 15a90a5b08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:國村 楓 | 作成日時:2016年7月3日 6時