心配 ページ40
首根っこを掴まれた猫のような様子で連れてこられたのは私の部屋の前だった
神「開けるよ」
短くそう聞かれて反射的に頷くと神谷さんは部屋の扉を開け、そのままベットに私を座らせてその正面に立った。
事態に頭が追い付いていない私は、この状況でもちゃんと部屋を開けていいか聞いてくれるのかぁ…と遅れて感心していたが、しばらくどちらも一言も発さない空気が続くとしだいに焦りが出てきた
…怒ってる、どうしよう
神「また寝てないんだろ」
やっと発せられた声はいつもより低い声で自然と身体を硬くする
じっと見つめられる視線に耐えられずに徐々に目線を落とした
怒ってる
どうしよう
そうだ…昨日たくさん注意されたのに、
言うことを聞かなかったのは私だ
部屋に響くため息に、さらに身体を硬くする
神「…」
何て言われるんだろうとか、どうやって謝ろうとか色々頭の中がごちゃごちゃしていたが、神谷さんが息を吸ったのに合わせて考えていた事が全部ふっ飛んで緊張だけが残った。
そして、
神「……そんなに怯えられたら、叱るに叱れないじゃないか」
予想していたより、神谷さんがずっと柔らかい声で話始めるので、気が抜けてぽかんと阿呆のような顔になる
神「怒ってないよ
眠れないのはしょうがないことだろ?
Aが頑張ったって寝れるかわからない、
むしろ眠らなきゃって考えるほど眠れなくなるって言うし。
ましてや俺が怒ったってどうにもならない。
怒ってるとかじゃなくて心配してんの。」
予想外の言葉に当惑している私のためにしゃがんで、いつもよりゆっくり話す神谷さん
「心配、?」
最後に聞こえた言葉を声に出すと「うん」と当然だとでも言うようにハッキリとした返事が返ってきた。
神「当たり前じゃないか。体調は悪くない?気持ち悪いとか、頭痛がするとか。」
「は…あ…いえ、何も」
神「それならいいけど、だけどそれも万全ではないだろ。
強いて言うなら俺が怒ってるのは君が無理をしたことだ
確かに手料理が食べたいとは言ったけど、体調悪い時は大人しく横になってればいいの
僕らに気を使わなくてもいい、自分を一番に大切にしなさいっつってんの。」
片方の眉を上げて「分かった?」と聞かれ、呆けたまま頷いた。
神「分かればよろしい。ほら、寝て!布団入って、今日一日は大人しく寝てろよな」
満足そうな表情を浮かべて、横になった私に毛布をかける神谷さんは、完璧にオカンでした
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咲(プロフ) - めちゃくちゃ泣きました。大号泣です(´;ω;`) (2019年10月28日 8時) (レス) id: b485c04083 (このIDを非表示/違反報告)
はやゆか - この作品を読んで号泣した一人です。更新楽しみにしています。 (2019年1月30日 2時) (レス) id: 2334c267ac (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - 最後、めっちゃ泣きました。こんなに泣いたの久しぶりってくらい。続編はどんな感じになるんだろう。これから読むのが楽しみです!! (2018年10月16日 13時) (レス) id: 2082d86ac9 (このIDを非表示/違反報告)
声優って良いよね。 - 号泣じゃ収まらん......大号泣...... (2018年7月14日 15時) (レス) id: d5b8d65653 (このIDを非表示/違反報告)
ナツ - …………。°(°`ω´ °)°。ピィー!!!!!!!なにこの作品!感動するんだけど!。゚ヽ(゚`Д´゚)ノ゚。ウワァァァン!!!!!更新頑張ってください!!!!! (2017年11月14日 4時) (レス) id: 15a90a5b08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:國村 楓 | 作成日時:2016年7月3日 6時