【声優】幸せの彩り

狭間 ページ32

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微かに聞こえる泣き声で目が覚めた




誰が泣いているのかと周りを見回しても部屋には誰もいない








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ﾋﾟｰﾋﾟｰﾋﾟｰﾋﾟｰ、ﾋﾟｰﾋﾟｰﾋﾟｰﾋﾟｰ




突然鳴り出した目覚まし時計にすこし驚いて肩が跳ねる





「あ、」

止めようと手を伸ばして今日(・・)が土曜日であると思い出した








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「お母さん？」




普段の家ではないほど不自然なくらいに静かだった




「お父さん？」




リビングに行っても誰もいない。






二階にも、 寝室にも、 キッチンにも、






おかしい

誰もいない、そんなことで胸が不安に駆られてゆく








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「おかあさん、」






見つけなくちゃ



だって、 まだ、



いるはずなのに、






「お父さん！」





止めなくては



でも、 おかしい


誰もいない、


おかしい




だって、




朝日に反射するガラスのコップ


揺れるカーテン


時計の針






全部同じなのに



二人だけがいない




窓から見える空の色だって、あの日と同じなのに








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＿＿＿＿＿＿＿あの日(・・・)＿＿＿＿＿＿＿？









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揺れていたカーテンが動かなくなった

風が止まった

時計は壊れたように針が進んでゆく

ガラスに光は映らない

空の色が変わっていった、青空が黒く黒く染まった


忘れていた泣き声が聞こえてくる


「っ……」


振り返って泣き声の行方を探すがやはり誰もいない



声は私を責めるように大きくなる







そして、







時計の短い針が10を指した頃、家の電話が鳴った

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