ジェラシー▽ ページ10
どこいくの、どうして離したの、どうして此方を向いてくれないの。
頭の中を渦巻く思考は滴を誘う。弱虫な自分がひどく惨めで、下を向いてぐっと溢れそうな滴を押しとどめようと力を込めた。
気持ちを素直に口に出せないくせに、嫉妬や焦燥ばかりが先走っては止まらない。
ひどく重たい口を無理矢理開いて、やっとのことで絞り出した声は掠れて震えた。
「……どこ行こうと、」
「じゃ〜ん」
今にも泣きそうだった私の声とは百八十度も違うような陽気な声。
歪んだ私の表情とは真逆の、どこか怪しげな笑顔。
その手には綺麗にラッピングのされた箱が二つ。
私の向かいに座ったと思えば二つの箱を私の前に並べて人差し指を立てた。
「今度は俺がAに問題出す番ね〜。
じゃあ問題、言うよ?」
そういうと彼は炬燵テーブルの上に腕枕を作り、顎を乗せる。
ちら、と八重歯が一瞬覗いては消えた。
この目の前に置かれた箱を使って問題を出すのだろうか。そうであってもそうでなくても問題の見当がつかない。
きっと難しい問題を出して来るだろうと、分かることはそれだけだ。
「そんな不安そうな顔しなくて大丈夫、難しくないから」
「……間違えたらペナルティとかある?」
「ん〜……じゃあありにしよっか」
「『じゃあ』って、聞かなきゃよかった……」
俺は寧ろ聞いてくれてありがたかったけどねぇ、なんて零した彼の真意はまだ分からない。
ともあれ、出題者と解答者の入れ替わりだ。きゅっと口角を上げて、形のいい唇が開く。
「問題。
ここに二つの中身の見えないバレンタインチョコがあります。
一つはファンの人からセッちゃんへ、もう一つは俺からAへのチョコ。
……俺の作ったチョコはどっちでしょう?」
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作者名:雫月 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年2月14日 23時