二十五挺:一瞬だけ ページ26
見上げるほど高い背。
細めた赤黒い瞳は
月明かりと交じり鈍い光を放っていた。
火枝。
危険な存在なはずなのに。
なんだか、ほっとしてしまった。
『たましい、わたしがさきに、みつけた』
「化物」が火枝に怒りの矛先を向ける。
触手がざわざわと震える。
いやな空気が辺りを包んだ。
こんなの感じたことない。痛い。ピリピリする…。
火)「俺の方が先だもんね。予約済みだもん」
火枝がなんか言っていたが
私はその場に立っていられなくなってしまった。
砂利に手をつき、膝を折る。
火)「あぁ！Aちゃん！大丈夫！？
Aちゃんの魂がコイツの汚い妖気で汚れちゃう…！」
妖気？
火枝は「化物」に「ちょっとタンマね」と言い、
私を引き寄せ、抱き上げ、ふわりと飛び上がった。
A)「え、え″！？」
耳元で風がひゅんとうなる。
突然の上昇に固まる。
しかし妖気で力が入らなくなった私は抵抗する術もなく
家の屋根の上へ避難する。
火)「ここなら安全だからね、見ててね」
火枝が私をそっと降ろし、頭を撫でる。
A)「いや、見ててねって…」
私は腰が抜け、またその場に情けなく座り込む。
火枝はまたにこにこ笑っていたが、一瞬まじめな顔になり
火)「あのバケモンね、"結界"が破れたから
入ってきちゃったんだよ。
しかもあれは"寄せ集め"だね。なかなか厄介。
だって君んとこの神様でさえ手こずっちゃってる。
あれ最終回とかに出てくるレベルでしょマジで！」
屋根からはボロボロの神様が化物の気を引こうと
触手を交わし交わし、弱々しく舞っているのが見えた。
結界が破れた？
あの化物が寄せ集め？
またよくわからない言葉が出てきた…。
『たましい、たましい』
A)「ひっ！！？」
化物の触手が屋根の上まで伸びてくる。
すると、火枝が振り向きざまに素手で触手をちょん切った。
一瞬、彼の指から刃物のような爪が伸びたように見えた。
A)「ひっ…」
完全にびびるまくる私の頭を
火枝がまたぽんぽんと撫でる。普通の温かい手だった。
火)「大丈夫。
俺と神様でタッグ組んで
あのもじゃもじゃ妖怪をぶっ殺してくるよ！
終わったら迎えに来るからね、お姫様」
そう言って彼は再びふわりと地上へ降りていった。
…。
A)「なんかもう、どうにでもなれ…」
私は考えることをやめた。
途端に冷静になった私は屋根の上から火枝たちを見守った。
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スズラン(プロフ) - アーシェ£さん» いえいえ！ですが、楽しみに待ってます！ (2015年5月11日 18時) (
レス) id: 0e2db3a51c (このIDを非表示/違反報告)
アーシェ£(プロフ) - スズランさん» すみません今週中には更新いたします！ありがとうございます！ (2015年5月11日 18時) (レス) id: 71dd7d321a (このIDを非表示/違反報告)
スズラン(プロフ) - いつ更新されますでしょうか？続きが気になります！ (2015年5月11日 18時) (レス) id: 0e2db3a51c (このIDを非表示/違反報告)
アーシェ£(プロフ) - 白紙さん» ほんとですか！嬉しいですありがとうございます！頑張ります^^！ (2015年1月10日 11時) (レス) id: 71dd7d321a (このIDを非表示/違反報告)
白紙 - すごい読みやすくて面白いです！投稿頑張ってください。 (2015年1月8日 12時) (レス) id: 28fb1f4f57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：逃避 x他1人 | 作成日時：2014年10月27日 1時
