二十四挺:惹き ページ25
つま先から頭にかけて
ぞぞぞと冷たい感覚が走り抜けた。
その声は空間的にではなく
私の頭に直接語りかけられたような気がしたのだ。
あ、こわい。
純粋に思った。
「たましいほしい」…?
だれの?「あのこ」ってだれ?
庭に向う足がすくむ。
すると、また、声がした。
『きてる、きてる、あのこがきてる』
『もうすぐ、もらえる』
確信した。
「あのこ」は、私だ。
A)(#$%&☆■▽◎)
恐怖のあまり叫び声も出せず、
頭の中でばちばちとパニックの火花が散った。
やっぱり拝殿を出るんじゃなかった。
今すぐ戻ろう。引き返そうとした。
『――たましい、ちょうだい』
振り返ると、「化物」がいた。
巨大な黒い影からうねうねと伸びる触手のようなもの。
ぎょろりとこちらを見下ろす大きな目玉には
硬直した私の姿がはっきりと映っていた。
あ、死ぬわこれ。
純粋にそう思った。
神)「なにをしてるA!!!逃げろ!!!」
化物ごしに
ボロボロになった神様がよろよろとこちらに向かってきているのが見えた。
そんなこと言われても動けるわけがない。
こんな、こんな見たこともない物体に語りかけられてロックオンされて。
まるで蛇に睨まれた蛙状態だ。
足が震えて逃げられない。
『たましい、きれいな、きれいな』
「化物」が私に手を伸ばした。
これまでの人生が走馬灯のように流れていく。
つまらない人生だった。
特に最近は。
学校なんて何一つ楽しくない。
自分に自信がもてない。
なにをやってもかっこ悪くて、みじめで、満たされなくて。
生きているのが苦しい。希望がない。
―それなら、今ここで死んでも、いいのでは?
あぁ、どうせ、死にたいと思ってたし。
家族には申し訳ないけど
ここで死ねば、楽になれる、
学校にも行かなくてよくなるんだ―。
目を閉じて、死を待っていた。
しかし、何も起こらなった。
A)「え」
目の前にはボロボロの着物を纏った男の背中があった。
後ろで束ねた髪。見覚えがある。
『なぜ、なぜ』
「化物」の声が震えていた。
触手を何本か切り落とされたのか、
砂利の上でミミズのような黒い影が苦しそうに蠢いていた。
男は静かに言った。
「この子の"死"は渡さない」
A)「……火枝…?」
振り向いた彼はこちらを見下ろし、微笑った。
猫のように細い目の奥で怪しげな炎が揺れていた。
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スズラン(プロフ) - アーシェ£さん» いえいえ!ですが、楽しみに待ってます! (2015年5月11日 18時) (レス) id: 0e2db3a51c (このIDを非表示/違反報告)
アーシェ£(プロフ) - スズランさん» すみません今週中には更新いたします!ありがとうございます! (2015年5月11日 18時) (レス) id: 71dd7d321a (このIDを非表示/違反報告)
スズラン(プロフ) - いつ更新されますでしょうか?続きが気になります! (2015年5月11日 18時) (レス) id: 0e2db3a51c (このIDを非表示/違反報告)
アーシェ£(プロフ) - 白紙さん» ほんとですか!嬉しいですありがとうございます!頑張ります^^! (2015年1月10日 11時) (レス) id: 71dd7d321a (このIDを非表示/違反報告)
白紙 - すごい読みやすくて面白いです!投稿頑張ってください。 (2015年1月8日 12時) (レス) id: 28fb1f4f57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:逃避 x他1人 | 作成日時:2014年10月27日 1時