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十六挺:手伝い ページ17

そう言えばこの男は
さっき「手伝おうか?」と
私の目の前に現れた。


私は最初
彼は布団を運ぶのを手伝おうとしているのだろうと思っていた。


しかしその考えは間違いだったらしい。



A)「それってどういう・・・」



聞き返さずにはいられないようなことを
男はポンポン語り出す。



火)「君が死にたいなら、俺が手伝うよってこと。
楽な方法とかも知ってるしー・・・」


彼はにこにこ笑っていた。
その笑顔からは全く邪心は感じ取れない。

怖かった。


A)「貴方は死神とかそういうの・・・?」


すると男は少し考え込みながら答えた。


火)「俺、ご覧の通り妖怪なのよ。
でも死神とは違くてね、
役割は似てるっちゃぁ似てるんだけど」


「ご覧の通り」なのかは微妙だったが、
やはりこの男は普通の霊ではなかったようだ。


その男、火枝は

あやかし。つまり、妖怪だった。



16年生きてきた中で
霊体とは数え切れないほど会ってきたが
妖怪は初めてだった。


幼い頃ばぁちゃんから聞いたのだが
霊と妖怪は全く違うものらしい。

「霊」は生き物の魂が形を変えたものだが
「妖怪」はもう、「妖怪」という生き物なのだそうだ。

あまりに数が希少であるため
滅多に人前には現れないという。


そうか、この男は妖怪なのか。



まだ謎は多いが
それがわかった瞬間

ギッチギチの警戒心が一瞬僅かに和らいだ。


しかし この火枝という男が危険な存在であることには変わりはない。


緩んだ心を固く結び直す。




A)「死神とは違うなら
貴方は何の妖怪なの?」


妖怪って色々いた気がする。
ろくろ首とか唐傘とか
そういう感じのしか知らないけど。


すると彼は初めてその顔から微笑を消した。



火)「俺もね・・・よくわかんないんだよね。
まぁ妖怪は大体のやつが自分のことよくわかってないはずだよ」


A)「そうなの?」


火)「稀に、人間に目撃されて絵に描かれたやつとかいるけど、それ以外はほぼ空想とか自然現象を比喩して作られたやつが多いわけよ。ほぼ「おとぎ話」。
君だってさ、自分が人間であること以外はよくわかんないこととかあるでしょ?」


訊いといて失礼だが
なんだか難しい話になりそうだったので

無理矢理理解して頷いた。


火)「で、
多分俺は、死にたがってる子は死なせてあげたいって思っちゃう男なの」


そう言って彼はなぜか照れていた。


その様子を見て
ふと、気づいた。



・・・これもしかして、
私、危ない?

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スズラン(プロフ) - アーシェ£さん» いえいえ!ですが、楽しみに待ってます! (2015年5月11日 18時) (レス) id: 0e2db3a51c (このIDを非表示/違反報告)
アーシェ£(プロフ) - スズランさん» すみません今週中には更新いたします!ありがとうございます! (2015年5月11日 18時) (レス) id: 71dd7d321a (このIDを非表示/違反報告)
スズラン(プロフ) - いつ更新されますでしょうか?続きが気になります! (2015年5月11日 18時) (レス) id: 0e2db3a51c (このIDを非表示/違反報告)
アーシェ£(プロフ) - 白紙さん» ほんとですか!嬉しいですありがとうございます!頑張ります^^! (2015年1月10日 11時) (レス) id: 71dd7d321a (このIDを非表示/違反報告)
白紙 - すごい読みやすくて面白いです!投稿頑張ってください。 (2015年1月8日 12時) (レス) id: 28fb1f4f57 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:逃避 x他1人 | 作成日時:2014年10月27日 1時

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