3.素直にはならない ページ4
｢ほんとに。俺がいなかったらまじで学校で寝過ごすところだったじゃん。
こんな遅くまで何してたの？遠足も終わったし、生徒会も忙しくないでしょう？｣
私たちの通う学校では、入学した1年生を迎えて交流する、歓迎遠足なるものがある。
もちろん企画は生徒会。
恒例になりつつあるウォークラリーの運営でドタバタしていたが、
それが終わった今は特に仕事もない。
まだ眠い。冷たい水を顔にパシャパシャとかけてあげる。と同時に大きなあくびがでる。
気づけば雨も止んでいて。夕空は少しだけ明るんでいた。
ずっと向こう側には細長いひこうき雲が見えた。
｢部活終わって帰ろうと思ったら、お前の靴だけ残ってんのよ。
教室見てもいないし！でも俺すごくね？お前の居場所見つけたんだし！！｣
｢はいはい。わざわざありがとうございます｣
｢何だよそれ。もうちょっとありがたく思ってよ！！！感謝してよ！！！｣
ありがたいよ…そんなの嬉しいに決まってるじゃん。
でもごめんね。
私、そんなに素直にありがとうとか恥ずかしすぎて、言えないから。
そう、私はこの幼馴染に絶賛片想い中である。
もちろん当の本人はそれには気づいていないし、
私も幼馴染の1人として自分の中で割り切って接している。
その方が、今までの関係を崩さずに済むの。
だから、私は今の関係が居心地が良くて、ずっと傍にあるものだと思ってた…
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作者名：Momoka | 作成日時：2021年6月2日 23時
