22.呼び方と誤解 ページ25
「北山先輩」
「まんまじゃん!」
「じゃあ何て呼べばいいんですか?
別に私が呼ぶのは勝手じゃないですか?」
「素直じゃないな〜 そんなんだったら、渉に言い付けるぞ!」
「はい???」
渉…?
そうだ。思い返せば、最初から私の下の名前を知っていたんだ…この人は…
「あの…私の兄とお知り合いですか?」
「お知り合いも何も、
クラスはずっと一緒だし、
家に来て料理作ってもらったりしたよ?」
料理?人前では自分が料理するって自分からは言わないのに?
珍しい…
ここは…折れるしかないの…?
「わかりました…
キタミツ先輩とか…どうです?」
さっきの笑顔振りまき男子もキタミツって言ってたし!
「長い!」
この先輩、相当めんどくさい。
「ミツ先輩…?」
「ミツ先輩…うん…よくミツとは言われるけど、後輩に先輩付けて呼ばれることないし…
それでいいや!よし!決まり!もう1回呼んでよ!!」
また何かと言われるのも嫌なので、仕方なく茶番に付き合った。
「ミツ先輩?」
「はい!Aちゃん!」
何これ。荒手のナンパ?
それから先輩はご機嫌な様子で風のように走り去って校舎に戻って行った。
私も生徒会室に戻って、そろそろ帰る準備をしようかなと歩み出したときだった。
「今の人、誰?」
その声の主は、不審者…?
ではなくニカだった。
声がガラガラすぎて最初誰だかわからなかった。
「応援団の団長だけど。どうかしたの?」
「ふーん。仲良いんだね?」
「いやいやいや、初めて話したし、チャラいし、いちいちめんどくさいし、
字が…」
「字がなに?」
「別になんでもない。」
「へぇ〜 ミツ先輩とか呼んでるし、
Aも名前で呼ばれてるから、付き合ってんのかと思ったわ」
「だから違うって」
「違うにしても、ムキになりすぎでしょ笑」
誤解されたくなくて、必死に否定しただけなのに…
私が好きなのは…
「俺、部活の休憩中にちょっと外に出ただけだから、
体育館戻るわ。じゃあ。」
1番誤解されちゃいけない人に、誤解されかけている。
はぁぁぁぁ…
何やってんだ…私…
盛大なため息が、夕日の沈みかける空にだんだん吸い込まれていった。
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作者名:Momoka | 作成日時:2021年6月2日 23時