20.木陰で ページ23
体育館を出て、本来の目的を果たすために武道場の方へと歩き出す。
応援団幹部は、太鼓と校旗を持つ人も含めて、現在は7人でやっている。
定期戦などの行事では、臨時部員を1.2年生から募集し、
来年時の団長候補をその中から決めていく。
初めて応援団の演舞見たのが、入学式のとき。
応援団の人たちが入場してきて、体育館の空気がガラリと変わって。
何が始まるのかなと思ったら…
―ドン
胸を打ってくるかのような重い和太鼓の一音。
それから、団長の掛け声に合わせて演舞が始まった。
ありきたりの言葉かもしれないけど、
その迫力に圧倒されて、気がついたら演舞は終わっていた。
退場していく団員たちのことを誇らしげに見つめて、
最後の団員が外へ出るまで拍手は鳴り止まなかった。
武道場の前まで来て、誰かに声をかけようとしたけど、
練習に熱中している彼らを邪魔するのも悪いよなって思って、
とりあえず木陰で待機することにした。
すぐ近くにある木は、学校で1番大きな木。
シンボルツリーだ。
種類は何だったかな…ケヤキ？ヒノキ？ソテツ？
｢あれ、生徒会の子じゃん！こんなところで何してんの？｣
いきなり知らない男子生徒に声をかけられた。
さっきまで私1人のはずだったのに…この人はいつ来たのだろうか？
確かに演説や選挙もしたし、
それなりに活動してるから生徒会だと分かることは納得がいくんだけど…
｢いや〜俺さ〜、迷ってるんだよね〜 生徒会と応援団。｣
何も聞いてないのに話を続けてくる。
これ、話終わるまでずっと聞かなきゃいけないパターン？
｢団長にすっごいお世話になってて。
よく購買部のパンとか奢ってくれるし。
ちょっと問題があったときに助けていただいたりもして。
でも、生徒会長とも仲良くて。
『次の選挙にお前も出てよ』って言われたんで…
あいつからのお願いは断れないし…
でも、応援団にも挑戦してみたかったんだよな…
かっこいいじゃん。熱い漢って感じでさ！！
さすがに両方だときつくなっちゃうかな〜って…
ねぇねぇ、どっちがいいと思う？｣
困ったものだ。
初めて話した人が生徒会と応援団のどちらに入るべきか、
私が決めていいものでは無い。
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作者名：Momoka | 作成日時：2021年6月2日 23時
