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あたしはりっちゃんの提案で、なっちゃんとラインを交換してイケメンに慣れる様に...いや、モデルに慣れる様に遣り取りをしている。
CMやらライブやらで困らない様にと、なっちゃんも、いや、なっちゃんが乗り気だった。
お姉ちゃんだと思ってって...思えねーしっ!
今度ご飯か買い物に行こうとか、ラインだけを見るとガールズトークだけど。
いざ顔を合わせると距離も近いし、緊張してしまう。
それでもESで顔を合わせると少し話すようになった。
「ねぇ、Aちゃん。今度あたしも踊ってみたに出ていいかしら?Aちゃんは凛月ちゃんのところ踊ってくれたらいいし!」
「あぁ〜!出てください是非!あたしの動画で来てくれる人ってキャラ濃すぎるんですよね〜」
「ネタ切れたら誘って?すぐ行くから」
うん!と顔を上げると、やっぱりイケメンで恥ずかしくなった。
でもゲストで来てくれるのは有り難いっ!
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零くんの上裸生活、15日目。
アンパン生活の様に、あたしがゲシュタルト崩壊しそう。
照れる事も赤くなる事もなくなった。
擽ったい時といえば、不意打ちで気配を消して近づかれた時くらいだ。
「もうこれしなくてよくない?...あたし零くんとお風呂入れそうだわ...」
「いいな!入るか?」
「のってこないでよ」
「撮影までは恋人気分でいさせろよ?あぁ〜...Aもいつか誰かにこうやって触られるのか〜最悪だな」
「...それ、想像すんのやめなよ」
「完全に成り切ったらマズイだろ...」
「そうなの?」
そう言うと、零くんは珍しくぼんやり映画を見ていた。
事件は寝ぼけている時に起きた。
寝返りを打った時に、零くんの頭に自分の頭をぶつけてしまった。
「痛ってぇ...」
一言呟いて身動ぎした零くんは無意識にあたしにくっ付いた。
そこまでは普段よくある事だけど。
あたしもまた眠りに落ちそうな時に、回された手が胸元に入ってきた。
かばっと起きて何か隠す物!と探して枕を抱えたところで、零くんが起きた。
「何やってんだお前...」
「お前こそ何やってんだよっ!」
抱えた枕で殴りつける。
「今度やったら殺す」
「はぁ?何をだよ?」
「は?寝ぼけてたの?あのさ。あたしのブラの中に!手!入れないでくれる!自分の部屋で寝るっ!」
零くんは一瞬だけ気まずそうな顔をしたけど、すぐにいつも通りになった。
「俺、1番ぽいな?その反応じゃ?」
「3回死ねっ!」
ボソッと言われる。
「1回でよくね?」
あたしはそのまま振り返らずに自分のベッドで寝直した。
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作者名:馨 | 作成日時:2020年8月26日 4時