あんスタ～大好きな兄弟～【朔間零・凛月】 (ページ40)

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こはくはMVを観て、あんな思いはさせないと笑っていた。
それよりも問題はりっちゃんなのだ...
みんなが驚く迫真の演技を見せられて、ズルイと言う。

拗ねたフリをして泊まりに来たりっちゃんは寝る前も、粘っていろいろ聞いてくる。
「ねぇ。あの撮影してる時さ、台本まであったの？」
「ないよ...今度りっちゃんも出る？」
「ん～...俺は踊るだけがいいなぁ。喧嘩してるシーンはさ、何話してたの？」
「あれか！...聞きたいっ？」
りっちゃんには聞いた事がなかったから、あたしも楽しみだった。
「な～に？怖いんだけど」
「あれはね～...零くん彼女作らないって約束したのに！嘘つきっ！って、あたしがそういう風に切り出したんだよ。零くんちゃんとノッてくれたんだよ？...りっちゃんは彼女出来たらどーするの？あたしの抱き枕権は零くんに譲る？」
「彼女は彼女。AはAでしょ？妹を抱き枕にするのは疚しい事だと思ってないし～」
「りっちゃんらしいね...」

内心想定済みだった。
りっちゃんは自由な人...だから、あたしへの態度は極端に変わる訳がない。

「あの兄者が何て言い訳したのかは、気になるな～」
「それは、映像見たままだよ？勝手にスマホ観てんな！とかだよ」
「俺が言ってるのはラストの話なんだけど～？」
そう、怖い所を突いてくる。
「妹なんだし、お前が1番大切だよって。そんな言い訳だったかな？」
「で～？」
「っ...で、って何？」
「何て返したら、あのラストになるの？」
「それが本当に嘘だったらデキ婚してやるからって...」
「俺は反対しないけどね？上手く撮影したもんだね～ふぁ～...俺の時は引っ叩かないでよね。おやすみ～」
「りっちゃん冷たくない？もう手は上げないよ。おやすみ」
反対しないと言っていたわりに、あたしに巻き付くりっちゃんの腕の力は強くなった。
焦ったけど、確かに...親よりも誰よりも、まずそういう時は、絶対に零くんが怒るだろうなぁ。

そう考えたら、恋人の喧嘩じゃないのに、よくあの映像撮れたなぁ...奇跡の映像なのかもしれない。
マネ、それは使うよね...面白がってたんだろうけど。

朝起きると、りっちゃんは起きていた。
「あ。起きた！A、俺に隠そうとするなんてひどいね～。兄者からちゃんと聞いてるんだからね」
「っ何？」
「これ～」
ちゅっとすると、なんか本当に懐かしい～、と。

どいつもこいつも、相当3歳のあたしが好きらしい...

彼氏の事を報告をしない罰なんだと思ってたのに、焦り損だった。