あんスタ～大好きな兄弟～【朔間零・凛月】 (ページ32)

今日:6 hit、昨日:12 hit、合計:143,114 hit

３２　ページ32

こんな日にあたしは前日に地方の小さなライブでオープニングアクトとして来ていた。
「何でこんな日に...マネ少しAの誕生日に気を使ってよ？」
「動画だけだと俺もAも仕事してないって思われちゃうよ」
「そうだけどさ。帰りは何日～？」
「19日の夜8時16分の新幹線で、家に帰るのはテッペン回るかそのくらいかな」
「てめぇ...！マネが誕生日にA独り占めしてどーすんだよっ！！」
「A？口が悪いのは動画だけだからね～？お仕事中は駄目」

ライブ後もマネはケーキやらをくれた。
ファンも口々におめでとう！と。
だが、声を大にして言いたい！
Aも唯月くんにおめでとー！って画面に言う時、果たして親兄弟とは違う手の届かないを前提に、おめでとう！を口にしているよね...虚しい！

そこなんだ。
これが誕生日の握手会だったりしたらあたしに届くのに、距離感のあるライブなのだ。

夜中に零くんが電話に出ない...
りっちゃんにかけると、深夜ラジオがあったから次の日の19日にコーギーくんのお祝いをしていると。
「兄者の事だから忘れてないと思うけど～？それにAも帰り遅いんでしょ？」
兄妹で会えないのは久しぶり過ぎて少し悲しくなった。

ここで！先輩権力の行使！
「こはく...助けて」
「何や。こないな夜遅くに？まだ起きてたんか？...泣いてたら分からへんやないの...いっぺん泣き止もか？な？」
「...誕生日だったの。もう日付け変わってるけど。零くんもりっちゃんも仕事でお祝いしてもらえなかったよ...1人だし寂しいんだけど...」
「で。どこに居てはりますの？」
「家...」
「ほんなら今から逢いに行こか？ニキはんに頼んでスイーツでお祝いしよーや。な？元気でるでっ！」
「ケーキかお祝いっぽいパンケーキがいいな」
「準備したらESの前。待っとるで！」

本当はその日に祝ってもらわないと、あたしは、それは誕生日のお祝いではないと思ってしまう。

けれど学校で可愛げもなく、イケメン面で口答えするこはくではなく...
言ってる事が今から会いに行くよ、とかさりげなく女の子扱いをして優しくしてくれて...

柄にもなく相手がこはくなのにときめいてしまった。
全然先輩権力も使えてないし。

その日初めてみる“可愛い”ではなく“かっこいい”こはくに...

恋をしたかもしれない。

まだ分からない。
唯月くんみたいにファンになっただけかもだし。
でもこはくは、何でも話せて落ち付ける存在かも。

零くんにバレるのは...もう少し先の話。