あんスタ～大好きな兄弟～【朔間零・凛月】 (ページ16)

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着替えた英智さんは戻ってきて、あたしもストレッチを始めた。
パートは英智さんは凪砂さん、あたしは慣れてる巴先輩でいいと言う。
もう一度巴先輩の動きを見直す...相手は夢ノ咲の皇帝だ。
お世話になってる巴先輩に恥を描かせる訳にはいかない。
コピーするだけじゃダメだ。
それを吸収して自分の物にしていかなきゃいけないんだ...考えながらじっと見直す。

「じゃあ、やりましょうか！」
伏見さんが動画を撮ってくれる。
オープニングにダンス、締めのトークとちゃんと分けて撮ってくれるらしい。
((なんつープロの仕事だよっ))
一度軽く合わせただけでも、皇帝は完璧にコピーしていた。
緊張してやたらと汗をかいてしまう。
もう一周して、評価なんてどうでもいいから、一発撮りで早く帰りたくなった。
「いつもの様な笑顔がないけどパフォーマンスは完璧だよ、大丈夫。君の動画なんだ、少しは笑わないと。僕もこれ出てみたかったんだよ」
柔らかい笑顔で、相手は凪砂さんじゃないんだと何故か安心した。
結局二回踊り、伏見さんは笑えている二回目の動画を残してくれた。

「なんで夢ノ咲に入らなかったの？勿体ないな～」
「英智さん、ここ女の子普通科しかないじゃないですか...」
「あぁ...そうだったね。秀越は辛かったんじゃない？」
「そうですね...でも今は玲明で満足してます」
「僕も動画楽しみにしてるから、fineも踊ってみてくれると嬉しいな。お兄さん、一人は見つかったみたいでもうすぐ迎えに来てくれるよ。玲明なら僕が出てもそんなに怒らないんじゃないかな？」

聞いていたよりいい人そうだった。
茨先輩の方が数倍怖いかもしれない...

伏見さんに声をかけられ、お礼をいい部屋を出るとりっちゃんがいた。
「もう！電話したら出てよ～捕まっちゃったじゃん」
「昼間は眠いの～なんでいるわけ？案内でもして欲しいの？」
「用があるからなる早で帰ってきて欲しかったんだよ！零くんは？」
「兄者は知らな～い。俺には兄弟はいないし」
「そんな設定どうでもいいから、お父さん書面読まないでサインしたから零くんに読んでもらわないと困るんだって」
「え？なんの？」
「ここじゃいろんな人来るから、早く帰ろうよ」
「Aは先帰ってていいよ～。兄者は俺が捕獲しておくし。メンバーに見つかるとまた煩くなるからね～」

夢ノ咲を一歩出ると、巴先輩から電話で説教をされた。
((耳から話しても大声って聞こえんだな...))
「もう行かないですから」
「本っ当、悪い日和！」