東京喰種で！短編集！２ (ページ6)

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月山家殲滅作戦の時、あたしは伊東班で交戦していた。
倉元くんも怪我をし、あたしも左脚を負傷し...班員も2名殉職した。

あの日から宇井さんの様子が変わった。
ハイルちゃんも殉職した、それはショックだろう。

あたしも倉元くんが死ぬんじゃないないかと泣いているところを、政さんに女は邪魔だとボロボロに言われた。

喫煙所でぼーっとしている宇井さんを見かけた。
「最近吸い過ぎじゃないですか？宇井特等？」
「そうかな...そういえば1箱増えたかもしれないな」
「窶れた宇井さんは、宇井さんらしくないですよ」
「Aは入局当時を覚えているか...？」
「覚える事だらけで余り記憶にないですね、いろいろ目まぐるしくて」
「だろうな...私が君を嫌いな理由はそれだよ。私を覚えていない。私は見ていたのに...どの班でも誰にも頼らず誰とでも平等に接して上等にまで昇格した。頑張ったじゃないか...私は途中までずっと見ていたよ」

頭の中で入局当時の事をフル回転で思い出してみる。
でも分からない、何故そんなに嫌われる？
「何か...気に触る事言いましたか？ごめんなさい」

盛大に溜息を吐いて言われる。
「だから嫌いなんだよ。私の事、いつから君は意識したんだ？私が上等になった時くらいなんじゃないのか...」
「そうかもしれません」
「入局から少しして私が君に想いを伝えた事なんて覚えていないんだろ、少しも。少しの気まずさでも感じてくれていたら変わっていたかもしれないのに。君は当時の私の存在自体覚えていない。断った理由も覚えていないだろう？強いし、家柄も裕福だから自分には不釣り合いなんじゃないかって言われたよ。君は私を知ろうともしなかったじゃないか」
「すみません、返す言葉もないです。当時のあたしには、上官も仕事の出来る同僚も眩しくて...だから、あたしの事嫌いなんですね...ごめんなさい」

また嫌いにさせるの？と腕を掴まれた。
「私の事はそんなに嫌い？よく言われるよ真面目なのに身の振りを分かっていないと。君もそうなんじゃないか？」
「女として、こういう時に、男性にどう頼っていいか分かりません...」
「そうだね、それが君の良い所だ」

初めて面と向かって褒められた。
功績ではなく、内面を...本当に嫌いだったら彼はこの場を去るだろう。
仕事をしすぎて女を捨ててしまっていた。
「今夜飲みに付き合ってくれないか？」
「...あたしでよければ是非、喜んで」
彼はあたしの頬の涙を拭うと時間を告げて、仕事に戻って行った。