東京喰種で！短編集！２ (ページ3)

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「甘いね...」
「Aはつまみ食いしてねーの？」
「してないよ。女の人のだし、不味い訳ないかなって？」
あと、15粒...戦いよりも難しい。
「よかったよ、今日渡せて。冷蔵庫入れたら誰かに食べられちゃうし...常温だと悪くなっちゃうからね」
「血液もそうなんだな？俺が帰って来なかったらどうするつもりだったんだよ」
「その時はあたしが食べたかな」

口を開ける...あと14粒...言葉にするのを迷ってるのか、帰ってしまうカウントダウンなのか、自分でも分からなくなる。
「眠くない？明日にすれば？」
蓋を閉めようとすると、手を掴まれる。
脈が伝わりそうで、また箱を開けると...絢都くんは横に寝返りを打つ。
待っているその口にまた一粒入れる。
ゆっくり味わってくれるけど、まっすぐ見つめられるとかなり恥ずかしい。
「他にも配った？」
「エトさんだけ」
「そっか」
「...雛実ちゃんはくれなかったの？女の子っぽいのに？」
「お前ほど女っぽくねーよ。まだ子供みたいなもんだろ」
「そうなの？」
「バレンタインも知らねーんじゃん？...手動かせよ」
「あ、ごめん」

ゆっくり食べた後に唐突に言われた。
「他にあげてないってコレ本命？バレンタインってそういう意味だよな？」
恥ずかしくて直視出来ないけど、俯き、うんと答える。
絢都くんはあたしと自分の間にある箱を枕元にずらした。

「もっと上手い食べ方教えてやろーか？」
器用に摘み、あたしの口に入れると、あたしの指で溶けた血を舐めとる。
口の中で程よく溶けた頃に、深くキスをした。
「A、美味い？」
揶揄われてるのか羞恥に堪えられなく、涙が出る。
あたしの口の中に入れキスをしたかと思えば...絢都くんは自分の口にも入れキスをしながら堪能する。
それが溶けてなくなっても、唇も舌も離れない。
無意識に絢都くんの服を掴んでいた。
あと5粒がもったいないという様に、深いキスだけを繰り返す。
「お前服脱げよ」
絢都くんは口に1粒放り自分も服を脱ぐと、あたしの脱ぎかけている服を手早く引っ張り床に落とし、甘い血の味のキスをする。
舌が甘くて温かくて心地いい...
「ちゃんと溶かせよ」
お互いの口に入れ、溶かしている間に絢都くんはあたしの体を舐める。
初めての感覚に息が上がる...
胸元から這い上がってきた絢都くんを見つめると、自然と唇が重なる。

全ての粒がなくなった時、あたしと絢都くんは1つに繋がった。
「...好き」
「うん知ってた...」
言葉は少ないけど本当に死ねるなと思った。