東京喰種で！短編集！２ (ページ15)

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浮かない顔をして帰ってきた什造が、ご飯を食べながらぽつりぽつり話す。
「今日は半井からデリカシーという物を教えられて疲れました～」
「デリカシーの意味は分かったのかな？」
「何となく...節度を保つ？」
「そうだね」

そうだ、あの話しなきゃ。

「ねぇ！もうすぐ桜が咲くんだよ、お花見がてらに動物園行こうよ？」
「いいですね～行きましょう」
動物が好きな什造はキラキラした笑顔になった。

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動物園に辿り付く前に、桜を楽しんだ。
満開の桜の中で、綿飴が目に入った...知り合った時の彼は綿飴の様な髪の色で綺麗だった。
「Aそれ何です？」
キャラクターの袋を開けて、中身を出すとまじまじ見る。
「什造の前の髪の毛みたいじゃない？これ甘いんだよ～」
ふわっと、指で摘み口に入れてあげる。
「ややっこれは甘いですね～溶けてなくなっちゃいました！雪みたいです...髪、白い方がAは好きですか？」
「どっちも好きだよ。でも今は班長だし、鈴屋班の隊服には黒の方が似合ってるよ？白い髪よりも、赤い目が好きかな？」
綿飴を摘んでお互い口に運んであげる。
「これね、時間が経つと萎んじゃうの、砂糖に戻るんだよ。だから、ここでこの瞬間に食べないとふわふわじゃなくなっちゃうんだよ？」
「じゃあ、夏の花火の時にも食べましょうA！あと帰りにも！」
「桜も花火も綿飴も、什造の白い髪も似てるね？その時だけで変化する」
内心、結婚の意味をあまり分かってないんじゃないかと...ふと物悲しくなった。

自分の指をぺろっと舐め、はっと、あたしの指も舐めた。
「ありがとう、動物園入ろうか？」

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キリンを眺め昔描いていたカラフルなキリンの絵を思い出した。
「什造、キリンの絵綺麗で上手だったね」
「帰ったら、あの絵あげますよ」
「あんなにカラフルなキリンは可愛くて、本物より好きだな～」

お昼を食べたり、ベンチに座って飲み物を飲みながら眺めたり、いろんな動物を眺めた。

「喰種みたいですね」
「ある意味そうだね！羽赫に鱗赫、尾赫と甲赫、それに赫者とか？コクリアみたいだね」
「そうですね。Aは賢いです！檻を開けたらライオンに食べられちゃいます。危ないです！」
「でも動物園は楽しいよね」

什造と一緒だと閉園時間なんてすぐにきてしまう。
「いろんなの見たね～何が1番好き？」
「聞きたいですか」
内緒話のように耳に手を添え、Aです。

人も疎らな園内で先を歩く什造の手を引き寄せ、軽くちゅっとキスをした。