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暫くして、あたしは退局させられた。
什造の住居はここになっているが、全然帰って来ない。
ある時帰ってきたと思ったら、本局に暫く住みましょうと言う。
「仕事で帰れないから?」
「外も危ないかもしれません。避難が正しいです」
いつの間にこんなに頼もしくなっちゃったんだろう。
有馬さんが亡くなってから、本局が頼りにしているのは什造だ。
今は喰種たちと共同でピエロと戦っているという。
鈴屋班はみな無事で安心した。
あたしは長い事局内で過ごしていた気がする。
什造に会ったのは何週間前だったか...
「終わりましたよ、CCGは変わるでしょうね」
その日久々に眠ったらしい什造を眺めた。
目が覚めたから、シャワーで丁寧に洗ってあげた。
戦っていた相手の話を聞いても、早々に退局したあたしには難しかった。
竜の壊した街の再建の為にも、局での生活が続き、いろんな事を手伝った。
局から頼られる什造を見ていて思った。
甘い砂糖は、ふわふわの綿飴にもなる。
けれど、いろんな食材と混ざり、出来上がった料理はおかずになったり、スイーツになったり形をその時々で変える。
綿飴の様だったスイーツの様な彼は、今は少しの醤油とみりんと混ざり、メインディッシュになっている。
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それからあたしはする事もなく、TSCで事務仕事をしている。
あれから6年経つ。
篠原さんもつい最近目を覚まし、什造は変わらず仕事を頑張っている。
「丸手さんが頑張ってくれて、僕にも戸籍がちゃんと出来ましたよ。結構前に出来上がってたんですが、あんな事になっちゃったので...」
「そっかCCGでは功績があれば戸籍は後回しにでも問題ないのか...もう大人だね、什造も」
「僕の稼ぎでAを養えますよ。でも、Aも子供が欲しいのかもしれません...」
終わりが来たのかな。
什造を育てるという事があたしの仕事だったのかと寂しくなった。
「もし、子供が諦められる様であれば...僕と結婚してもらえますか?」
子供を産む事だけが幸せではないはず。
人生は人それぞれ。
丈さんはTSCにすら背を向け1人で生きている。
人それぞれだ。
「子供はいらないよ。でも、お嫁さんにはなってみたいな?女の子だし」
「...よかった。じゃーん!もう書いてきちゃったんですこれ。篠原さんのサイン入りです!」
鈴屋班は隠れていたのかクラッカーを鳴らす。
キスをすると什造は、節度は今は関係ないですよね?
と笑う。
知らない間に大人になった彼は、とても素敵な男性になっていた。
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作者名:馨 | 作成日時:2020年3月24日 23時