東京喰種で！短編集！２ (ページ17)

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旧多二福ー合わない視線ー１ページ17

上井大学の構内で、本を読んでいたその人の本が気になって声をかけた。
「その本、どんな感じですか？買おうか迷ってたんです。楽しい？」
「あぁ...どうかな。暇を潰すためだけに買ったから、差し上げますよこれ」
「え？」
「だから、あげますって」
そういうとその場を去ろうとする。

お礼、と思い走って行って引き留めると、講義があるという。
「あたしも付き合います、空いてるんですこの時間」

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「しつこいんですね～案外。僕、結構迷惑してるんですけど？」
「じゃあ、この本はお返しします。さようなら」
席を立とうとしたら、座らされる。
「講義中に出て行くなんて、気が強いんですねやっぱり。少し気に入りました、僕は旧多二福」
「AAです」
「じゃあ、Aにこの本をあげるよ。本当に暇潰しに買っただけだから、お礼というなら暇潰しに付き合って？君が」

連絡先を交換した。

その日からお互い講義がない時は、二福からの呼び出しがほとんどだった。
昼食や夕食、空き時間...友達からは彼氏ができたのかと思ったと連絡が来る。

「ねぇ、サークルも何も入ってないの？」
「馬鹿は嫌いなんですよね。Aは入ってるの？」
「入ってないけど...」
「入ってないの分かってて聞いてますよね、それ？」
「そうだね。二福も大概性格悪いよね」
「バレちゃいました？大学も暇潰しに入っただけですよ」
「綺麗な顔してるのに、どうしたらそんなに性格歪むの？」
「内緒...」

性格は悪いし、多くは語らない癖に呼び出しは多い。

「ご飯は1人で食べたらつまらないのは皆同じでしょう？」
「そうだね、お酒も飲めるの？」
「泥酔しない程度には飲みますよ？一緒に飲みます？」
「潰されそうなんだけど...」
「僕性格悪いですけど、馬鹿ではないですよ？馬鹿なサークル飲みみたいな事はしませんよ。Aはワイン飲める？」
「赤なら。白は苦手なんだ」
「ほう...意外といける口なんですね？どんなのが好き？」
「固めで渋みがあって、ブドウ感が強いやつかな？」
「大学生がそんな高い物、どこで飲むんです？」
「バイトだよ、バイト...」
「悪趣味なバイトですね？」
「学費のためですけどね？」

今夜いいバイトを紹介しましょうかと、彼と飲む約束をした。

「場所は夜に連絡しますね」
「人身売買とかしそうな人間だよね、二福って...」
「Aは暇潰しだから、売るなんて勿体無い事はしませんよ？」

また夜に、とあたしは講義に向かい、彼は家に帰った様だった。